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□唇に触れる
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「大丈夫ですか?與儀?」
「だ、大丈夫大丈夫!ちょっと疲労がたまっただけって燭先生に言われたし、寝てれば大丈夫だから!」
與儀が倒れた。
私は側に居なかったから與儀の側にいた花礫に聞いた。何かありそうな雰囲気だったから聞いたけど、何故倒れたのか理由は教えてくれなかった。
本人に聞いても教えてくれない。
燭先生に聞いても詳しくは教えてくれなかった。
燭先生はアレルギーって言ってたけど、アレルギーで倒れるはずない。
どうしてみんな隠すんだろう。
「與儀…」
「ん?なぁに?」
「………いえ、何でもないです。ゆっくり休んで下さいね」
「うん、ありがとう、フィオナちゃん」
そう言うと、與儀はすぐに眠りに落ちてしまった。
よっぽど疲れてたみたい。
それなのに私の相手をしてくれてたんですね…
「與儀」
與儀からの返事はない。
完全に眠ったみたい。
だから、貴方が聞いていて、でも聞いていないときに、私は言うよ。
「與儀、もっと私を頼って下さい。……なんて、與儀より弱い私が言えることじゃないですね」
ツクモやイヴァくらいの実力があれば、與儀だってもっと私を頼れるのに。
「弱くてごめんなさい、貴方の役に立てなくてごめんなさい。…でも私は貴方のために何かしたいです。もっと私に我が儘言って下さい、もっと、もっと…」
與儀に伝えたい言葉は尽きることはない。
でも貴方が寝ているときじゃなければ言えないなんて、本当に私は臆病者ですね。