KIDU

□ろくでもない★
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『さーいたーさーいたー、ちゅーりっぷーのーはーなーがー』

「―――…」

『なーらんだーなーらんだー、あーかーしーろーきーいーろー』

「……、」

『どーのーはーなーみーてーもー、きーっどーだなー……あっ、キッド!!』

「じゃねーよ!何処のガキが歌ってんのかと思ったら、おれに喧嘩売ってんのか?」

『まっさかー!!ただの気晴らし?この公園夜だと薄暗いんだもん!』

「だから、家で待ってろって言っただろーが!」

『コンビニからだったら、ウチに帰るよりココのが近いじゃん?』

ビビリで怖がりのくせに『だったら公園で待ってるよ!』なんてぬかすから、ゆっくり歩いても5分と掛からない公園まで走って来たってェのに
聞き覚えのある声で歌われる人を小馬鹿にして喧嘩を売ってるふざけた替え歌に舌打ちをこぼす。
歌って気を紛らわしてたんだろう―――おれをみてホッとしたように笑う千鶴の頭を小突いて隣に腰を下ろした

「ったく、これじゃオートロックのとこに住んでる意味ねェだろ。」

『だって、トイレの電球切れちゃったんだもん!真っ暗だと怖いじゃん?』

「へーェ…、真っ暗いトイレが怖くて、よく夜の暗い外に出られたもんだな?」

千鶴とはまだ小学にも上がらないガキの頃、親の都合で引っ越してってそれっきりだったが最近になって戻ってきたらしく再会してからは頻繁に会うようになった

『ねー、キッド!!今度いつ泊まりにくる??』

「……そうゆうのは彼氏に言えよ。」

『居ないの知っててソレ言うんだからヒドいよねー。』

「好きな男もいねーェってか?」

『また、バカにして!!そーゆうキッドには居るの?』

「つくってねェ」

『うっわー……』

「何だよ?」

『イヤミな言い方だ!言い寄ってくる女の人はたくさん居るって自慢?』

「事実だな。―――でも、そん中に好きな女がいねーェんじゃ意味ねェけどな!」

『じゃー、好きな人は居るんだ?キッドの好きな人ってどんな人??』

「……すっげーェ、鈍感なヤツ。目の前に居んのに気付きもしねーェようなヤツだな」

『それって、向こうは気付いててキッドからの言葉を待ってるんじゃないの?』

「はっ、…言葉ねェー……モノだけじゃ足りねェってか?」

『うん?』

そのピアス、

「ピアス探してるって言ってただろ。」
『ひょっとして、キッドの手作り?見せて見せて!』
「千鶴にやる」
『えっ、ほんとに作ってくれたの!?あんなに「つくらねー!」って言ってたのに』
「チューリップのピアス作ってくれなんて喧嘩売ってるとしか思えねェだろ」
『なのに、作ってくれたんだ?あっ、中に赤いラインストーンが入ってる!』




…………)atogaki(…………
キッドの趣味はシルバー細工!!だったらイイなーぁという想像(妄想?)から膨らませたお話しです(笑)


…………)omake(…………
『赤いチューリップだね!!』
「赤い石の入った、だろ」
『ねー、赤いチューリップの花言葉が“愛の告白”だって知ってた?』
「知らねェよ―――でも、ちょうどよかったのかもな?」
『うん?ちょうどよかったって、』
「……気付いてて言葉を待ってるんだろ?」
『…え、……ぇあっ?!』
「まるで想定外だったって顔だな。」
『――――でした。』
「告白なんてガラじゃねーェんだけどな」
『あー、いいよ。いらないから!!今ので充分わかったし…それに』
「でも、気が変わった!」
『へ?!…ぅわッ!』
「隠してもバレバレに赤面してんのみたら、もっと見たくなた」
『ぃ、イジ…ワル!!ってゆーか、からかうなーぁ!!』

 

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