KIDU
□悪魔の囁き...☆
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「……―――そうやって、人の物取るクセ止めろよ」
『人聞き悪いなーぁ。ひと口もらっただけじゃん?』
「黙ってもらうんだから立派にドロボーだろ」
『じゃーぁ、おあいこだね!!』
「あぁ゛?」
『未成年が吸ってる煙草を黙ってもらった―――どっちも法を犯してる』
「犯した法の数は数えないのかよ?」
『あ、そっか1対2じゃ分が悪いかもねーぇ?』
「吸わなきゃよかったって顔するくらいなら、吸わなきゃいいだろーが」
『……よく見てるね?そうなんだけど、何でかなーぁ…キッドが吸ってるの見ると欲しくなる』
よく晴れた空を見上げてため息を吐いて、もたれた壁伝いにズルズルと屋上の床に座り込んで隣に座るキッドを見上げれば
銜え煙草でニヒルな笑みを浮かべてる――――『あっ』っとまた欲しくなった煙草に伸ばした手は
キッドに掴み取られて縫い付けられたみたいに壁から離れなくなった。性懲りもなくまた取ろうとしたから怒ってるのだろうか?キッドは気が短いから......
「煙草は吸ってるヤツより、吐き出した煙吸ってるヤツの方がリスクが高いらしいぜ?」
『らしーぃね?隣に居るなら吸わなきゃ損しちゃうってわけだ!!』
「そうまでして、何だって隣に居たがるんだ?」
いつの間にか隣じゃなく目の前に移動していたキッドは、まるで見せびらかすみたいに煙草を吸ってわたしの顔に煙を吹きかける
『そーぉ言われてみれば、何でだろう?やっぱり好きだから??』
「へーェ、お前おれに惚れてんのか?」
『煙草を吸うキッドにね!!クラスも違うのに嫌いな人の側にわざわざ来ないでしょ?』
「だったら、試してみるか?」
『試すって何を?』
「煙草を吸うおれに惚れてるのか、それとも」
『……キッドに惚れてるのか?ってこと?』
「まーぁ、どっちに惚れてても関係ねーェけどな?」
覚悟しとけよ!
『う、ッ…ヒャ―――ァ……!!』
「色気の欠片もねーェな。」
『噛み付かれるのかと思ったから、ちょっとビックリしちゃった』
「おれは吸血鬼じゃねーェし、お前は美女でもねーェだろ?」
『確かに、わたしは美女じゃないけど』
…………)omake(…………
『……キッドは―――肌も白いし、くちびるも赤いし、思わず見惚れちゃうくらいカッコいいし、バンパイアかもね??』
「退屈しのぎのゲームのつもりが、本気にさせられたって事か?」
「ガキっぽい笑い方して、撫でながら言うなんてなァ?」
「ミイラ取りがミイラだな。」
「まァ、それだけで終わらせるつもりはねーェけどな!!面白いのはこれからだろ?」
「嫌われない程度に手加減してやれよ」