KIDU
□彼女の視線★
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『ぅわ〜ぁ、本物だ!!あの雑誌に載ってた車本当に買ったんだね??』
「あぁ、偽物に大金払う気もローン組む気もねーぇよ」
『実物の方が断然カッコいいね!乗り心地はどうだったの?』
「さーな。」
『へぇえ?!さーなって、だって1週間前に手元に来てたんでしょ?何で乗ってないの??』
「買ったら1番に乗せろって言ったのは千鶴だろ?俺が乗ったら1番じゃなくなんだろ」
『そうだけど、でも助手席に1番に乗せてくれたらそれでよかったのに』
「いいからさっさと乗れよ。俺はこいつを目の前に1週間もオアズケ喰らってんだ早く乗りたいんだよ!」
素っ頓狂な声をあげる千鶴を車のドアを開けて助手席に押し込み自分もさっさと運転席に乗り込めば
しきりにきょろきょろ見回してる千鶴を見て変わった女でと口角を吊り上げる―――……
『うん?』
「…いや、別に。ただ楽しそうだと思っただけだ」
『キッドだって楽しそうじゃない!口が笑ってるよ?』
そう言やぁ、最初にバイクに乗せてやった時も今と似たような仕草してたんだったなこいつは。
それを思い出したら可笑しくなったんだと内心そう言って鍵穴に差し込んだキーを回してエンジンを掛ける
「んっで、ドライブの目的地は何処なんだ?千鶴の事だからもー決めてんだろ?」
『何処でも!本当は夜景が見たかったんだけど今から行っても夜景は見れないから、キッドが決めていいよ!!』
「夜景ねぇ――…明日は休みだったよな千鶴?」
『えっ、うん…休みだよ?キッドも休みでしょう??』
「そんじゃ、ちょっと遠くまで夜景見に行くか?」
ドライブ
『遠くまでって、それはいいけど返って来るの大変じゃない??』
「泊まればいいだろ。ラブホでもビジネスホテルでも探せばいくらでもみつかるだろ?」
『泊り掛けでドライブなんてすっごく楽しそう!』
…………)omake(…………
「……―――さっきから何だってんだ千鶴!?」
『運転してるキッド見てて飽きないんだもん!バイクの時はキッドの顔見れないし』
「バカか。ドライブしてんだから俺じゃなく外見ろ外!」
『外もちゃんと見てるよ〜、キッド越しにゃわ?!』
「っ……もー、お前喋んな!!」
『ちょっと目隠ししないでよ!片手で運転なんて危ないよ?!』
「じっと見られてる方が気が散って危ねーぇってんだよ!!」