いろいろ
□KUZAN★
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『……オジサン、何か用?』
「オジサンかーァ…手厳しいなァ」
『売春目的なら他当たって』
「おれがそんな事するような男に見える?」
『どうかな?―――見えない事も無いかもね?』
「あららっ、こいつァまた手厳しいねェ」
『ひょっとして、オジサン警察の人?』
「何でそう思う?」
『売春が目的じゃないなら、補導かなって思っただけ』
当たらずも遠からずな推察に苦笑いを漏らして終電なんてとうに過ぎた薄気味悪さすらある暗い駅前の花壇縁に座る女えお見る
この季節にしては薄着で、手荷物は小さなリュックが1つ。家出とは考えにくい……
終電を逃がし、タクシーに乗る程の金は無く、かと言って歩いて帰れる距離でも無いし、朝まで店に居れる金もまた無しと言ったところだろうか?
「どっちも違う―――と言いたいが、こいつを渡せば半分認める事になるのか?」
『何を半分認めるの?』
「でも、まー…ァ何だ……こいつは“貸し”だから認めた半分も違ってくる」
何言ってんだ?と傾げる頭を一撫でして、財布から取り出した金と名刺を差し出せば女は大口を開けて笑い、その顔を抱えた両膝に隠す
『はっはは…、オジサン面白い人だね?』
「失礼極まり無い話しだが、変な人とは言われ慣れてるが“面白い”なんて言われたのは初めてだ」
『やっぱ、面白い!!私、別にお金に困ってるわけじゃないよ?』
「そーォなの?何だ、おれはてっきり…」
『どっか行きたいと思ってココまで来たけど、行きたい場所も――ついでに帰りたい場所も無かっただけ』
「家に帰りたくない事情でもあるのか?」
『何でそんな事聞くの?』
「道徳、親切、心配―――色々あるが、どれもしっくりしない」
『何それ?』
捨て犬みたいな
そんな目で見られた時から...
「放って置けない。これがピッタリだろうと思える」
『そんな事言って、本当の本当は売春目的なんじゃないの?』
「まーァ……そう思われてもこの際仕方無いな」
『ふーぅん…まー、オジサン面白いし!それならそれでイイけどね?』
「コラコラ!そんな事言うもんじゃないでしょーォ!!」