いろいろ

□ZORO
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わざわざこんな真夜中に
不寝番でもないヤツが一体何をしに
ベッドを抜け出し船尾になんて来たのか?

円状に組まれた柵の上に両腕を組み
背中を丸める華奢なシルエットは
俺が声を掛けると、ビクンと弾かれて
慌てた動作で振り返ると…
驚いたように目を大きく丸させた。

「何泣いてやがんだよ。」

紅葉は自分が泣いてる事に
気付いてなかったのか??首を傾げて
不思議そうに自分の頬に手をやる

そこで漸く自分が泣いてる事に気付いた
紅葉は眉をへの字にして
困ったように笑うと涙を拭った―――…


『何かゾロには変な所ばっかり
見られちゃってるね〜?』


「――別に。泣く事が変だとは
俺は思わなねえよ。…理由をきかせろ!
何で泣いてたんだ??」

『話さなきゃダメ??』

「あぁ。そうじゃなきゃ俺が眠れねえ」

俺がテメエ勝手な理由を述べれば
不寝番が眠っちゃダメでしょう?なんて
小さく笑った紅葉がため息を吐く

その仕草は”何か”を諦める時の
紅葉の癖だとぼんやり思いながら
夜の海をバックに俯く紅葉が
顔を上げて話し出す瞬間を待った。

『何か…ね、急に1人で部屋に居る事が
怖くなっちゃったの―――
サニー号には皆が乗ってるのにね?』

「ホームシックってヤツか?」

『うーん…どうかな??』


「ったく、何才児だよ?」

『ホームシックだって認めてないんだから
その返しは違うんじゃない??』

「否定はしてねえんだから
あながちハズレでも無いんだろ?」


言葉に詰まった様子の紅葉を見遣り
安堵の気持ちからため息をつくと
壁に寄り掛かり方膝を立てて座った

1人で寝れねえなら、傍に居てやる…
だから安心して寝ちまえ―――


そう言って引き寄せる事が出来りゃ
コイツも”1人じゃない”っと
安心して眠れるのかもしれねーが

俺は生憎その手の事は苦手で出来ねえ。


だから――こうして行動で示したつもり
だったんだけどな……、
何だってこんな事になるんだかな?!

「…ぉ、おい!?何してやがる!?」

『此処の方がよく眠れそうじゃない!!』


「だからって、ハイそうですかって
話しになると思ってやがんのかっっ!?」

俺の足の間に座り、俺の肩を枕にして
寝位置を確かめるように
グリグリと頭を首元に押し付けてくる。


×××…
((信じらんねーえ…本当に寝やがった!?))

 

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