LAW

□きみのなまえ。
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『んっ……ぁ、また来てたんだ?毎日毎日こんな所までよく来るね?』

「人を暇人みたいに言うな。」

『違うみたいに言うんだね?だったら有名な海賊さんがこんな所へ毎日来てる目的はなに??』

木漏れ日が心地いい幹に寄り掛かっての居眠りから目を覚ました女は俺を見るなりからかうようにそう言ってくすりと小さく笑う
たった1週間だが俺にとってもすっかり心地いい場所となった此処とも今日が最後―――

「明日の朝出航する。今日はそれを言いに来た」

『―――そっか、毎日来てた人が明日から来なくなるかと思うと何だか寂しいものだね』

「寂しいって思うのか?」

『そりゃーね?でも突然現れたのに居なくなる時は予告をくれるなんて上等なのかもね??』

でも、なにも暇潰しでこんな町外れの寂れた所に通ってた訳じゃない。居心地のいいこの場所を手に入れる
その為に毎日足繁く通い詰めてたのだから――うつ向きがちに淡く微笑む横顔を見て
自ずと口角が吊り上るのを隠しもせずに腕を伸ばし風になびく横髪をそっと耳に掛ける

「……確かに”上等”かもな?―――未来」

『えっ…!?いま、あたしの…名前……』

初めて呼んだ名前に大袈裟なくらいぴくりと肩を震わせるその反応に確かな手応えを感じて随分と前から用意していた言葉を口にする

「俺と一緒に来てくれないか?そうすれば寂しいなんてこの先思わせたりしない」

ずっと一緒
(俺にとって心地いいお前の隣を手に入れる為の1週間)


『……ずるいよ。最後の日に名前を呼ぶなんて』
「掻っ攫ってから手に入れてもよかったが、どうせなら心ごと欲しいからな」




…………)atogaki(…………
実はこの話し”策士・ロー”で書くか”変態・ロー”で書くか随分と迷ってました(笑)

 

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