LAW

□とある憂鬱な日。
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少し外の風に当たりたくなって
操舵室に居るジャンバールに浮上を
指示して10分程経ってから甲板に出る
思った通り海水に濡れてたデッキは
すっかり乾いていて、これなら
足を伸ばして床に座っても大丈夫だろう
っとそう思えた――――…


浮上した瞬間から出て来ていたのだろう
ベポは既に甲板の縁にある柵の側で
横たわってグーグーと寝息をたてている

『ローってばまぁた、ベポの事
クッション替りになんかしてる!!』

それならっと寝てるベポの脇腹に
寄り掛かって本を読んでれば
呆れた口調が投げ掛けられたんで本から
視線を外して甲板と船内を繋ぐドアへと
向ければ、真っ白なワンピースを着た
未来が歩いて来るのが見えた。


「……どうしたんだ未来?」


『どうって、何が??』

「いつになくめかし込んでんな?」

『ぁあ…コレの事??可愛いでしょう?』


そう言ってワンピースの裾を持ち
ひらりとたなびかせて見せるものだから
視線がそれに釘付けになる…

「あぁ…確かに―――」

可愛いっとそう言い掛けた所へ次いで
甲板に出て来たペンギンがそれを遮った

「テーブルと椅子の他にパラソルも
見付けたから持って来たけど使うか?」

『ありがとう。是非使わせて?』

「置くのはいつもの所でいいんだろ?
それから、今キャスケットが食堂に
未来が頼んでた物を取りに行ってる」


『此処に来る前に取りに行くって自分で
コックさんに言ってたの忘れてた』


ベポの頭元。少し離れた其処が未来の
いつもの場所で、倉庫から持って来た物を
手際よくセッティングしながら話す
ペンギンと未来を見遣る――――


おそらくキャスケットが食堂に
取りに行ったのはティーセットだろう

未来がコックに頼んで自ら受け取りに
行くつもりだった事から考えれば
間違っちゃいない筈だ…


自分自身の事となると何故か途端に
忘れっぽくなるのは未来の習性と言っても
過言ではないし、こいつ等が率先して
世話を焼く気持ちも解るには解るが……


「やっぱり此処に居たか未来」

『あれ、ジャンバールが甲板に
出て来るなんて珍しいんじゃない?』

「操舵室に来た時に忘れて行った
帽子を持って来てやったんだ」

『――あっ…、そう言えば今日は
帽子も被るつもりでいたんだっけ??
手に持ってただけだから忘れてた』



ベポを筆頭にペンギン、キャスケット
だけじゃなく…ついにはジャンバールまでもが
世話を焼き出すんだから始末が悪い。


「あんまり可愛いのも考えもんだな。」


ため息を吐くように言った言葉は
紛れもなく本音だったが、それ以上に
その未来が自分のモノだと思うと…
妙な気持ちに満たされてくし案外それは
気分のいいものだから取り立てて
何かを言う事も制止させる事もしない。

×××…
((ねぇ、ロー??一緒にお茶にしない?))
((あぁ。それはいいが俺の分はあるのか?))
((もちろん!!そのつもりだったんだから))

 

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