LAW

□ただ貴方に構って欲しいだけ。
1ページ/1ページ


本当なら買った本は全部いつでも
すぐに読める様に自室の本棚の中へ
しまって置きたいのだが―――

これ以上本棚を増やせば邪魔になる


仕方無く荷置き室だった所に
本棚を詰め込んで蔵書室としたが
ふとした時に其処へ押し込めた本が
読みたくなった時は面倒だと感じる。



「今日は姿を見せないと思ったら
明かりもつけないで何をしてるんだ?」


そんなふとした衝動に駆られて
蔵書室にやって来ると、薄暗な中で
床に座り込んでる未来を見付けた

『此処は蔵書室でしょう?
本を読んでいたのよ。見て解らない?』

読み掛けのページに指を挟んで閉じると
ほらっといった風に表紙を見せる。

そんな事は此処で最初に未来を
見付けた時から解りきっている事だ…


俺が聞いているのはそんな事じゃない。
未来もそれを解ってるだろうに
敢えて挑発的な言葉を口にしているから
余計な苛付きに眉間に寄せたシワが
一層深くなってるのが自分でも解る程だ


「医学書に興味がある訳じゃないんだろ。
暇を持て余してるなら俺の所に来いと
前にも―――そう言ってあった筈だが??」


『確かにそう言われたけど
”俺も暇なら構ってやる”なんて
言われ方されたら行けないもの』

「――その割には、いつも来ていただろ」

『今日は、そんな気分じゃなかったの
何か不都合があった??』


引っ切り無し―――そう言っては
御幣があるが、いつも暇だと言っては
たいした用も無く来ていたヤツが
今日に限って一度も来ないんじゃ…
却ってこっちの調子が狂って仕方無い。


俺がそう口に出せば至極楽しそうに
笑みを浮かべる未来が容易に想像出来る
だから口にはしないが、その代わりに
吐き捨てたため息でそれを察したのか??

殊更楽しげな笑みを浮かべ声にして笑う



更に厄介なのは、俺が丁度読みたいと
此処へ取りに来た本は
今未来が読んでる本だって事だ―――

さっき表紙を見せられた時に
しっかりと確認したからまず間違いない

『…もしかして、お探しの本はコレ??』


クスクスっと悪戯な笑みを浮かべた
未来は「そうだ」と言った所で
それをすんなり渡してくれそうに無い

「そのつもりだったが別なのにする。」

『あら、どうして??』

「そうだと言った所で素直にその本を
未来が俺に渡すとは思えないからだ。」


俺の勘ぐり過ぎだったのか??はたまた図星だったのか

その真意は解らなかったが、一瞬見開いた目を
元の楽しげな笑みに戻して読み掛けのページから
指を抜き取るっと大事そうに表紙を撫でる


『……そうね。―――でも、ローは海賊
それもキャプテンなんだもの!!』


「何だ??」


『欲しいなら奪えばいいじゃない!!』


未来の笑みを含んだその科白に
寸秒目を丸くしたが、すぐに思い直して
それもそうだっと踵を返して未来の方へ向かう。

『ローの行動が解らないわ。
どうしてこうゆう事になるの??』

「”欲しいなら奪えばいい”っと俺に
今、そう言ったのは未来だろう??」

『だからって、どうして私ごとなの??』


×××…
((そりゃぁ、どっちも欲しいからだろう?))

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ