LAW

□従順彼女
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朝から3杯目のコーヒーを啜りながら
最近購入したばかりの
分厚い医学書を読みいってると…

部屋の扉を叩くノック音が数回響いて
俺の意識を現実へ引き戻した。


潜水艦の強度を保つ為の鉄製の壁に
不釣合いな木製の扉へ視線を向けると
それは何の躊躇いも無く開けられる


「…未来、ノックの次は
”返事”を覚えろ。」

ノックをして返事を待たずに
扉を開けては、ノックの意味が無い

それではただ扉を叩いただけで
打つかったのと同じ事だと説明をしても
未来からは”ふーん”としか返って来ない
覚える気の無い生返事ってヤツだ。


この手の話しを未来にしてると
”言うだけ無駄”っと言う言葉が
よく頭に浮かんではため息に消えていく

『そんな事より、私の話し聞いて!!』

「―――何だ?」

未来が此処に来た理由なんてものは
わざわざ聞くまでもなく解ってる――

毎日、多少の誤差があるにせよ
決まって毎朝一番に俺の所にやって来ては
繰り返し同じ質問を問い掛けるのだから。


理由を解ってて尚、何だ?と聞き返し
分厚い医学書の読みかけのページに
しおりを挟み本を閉じると…
コーヒーの入ってるカップに手を伸ばし
残りを確かめるように中へ視線をやって

一口、喉を潤してから視線を未来へ戻す



『今日は、どうかな?』


お決まりの科白を言って両腕を広げる。


今日の未来は―――ナースの着る”白衣”
のようなデザインのワンピースを着て
第3ボタンまで開けたフロントから
下着だかビキニだか判らない
鮮やかな黄色のソレを大胆にも覗かせてる


おまけに、丈の短いスカートから見える
左足の太股と右手首には
同じ黄色のリボンに白いレースが付いた
モノを身に付けている


「その黄色いのは下着か?ビキニか?」

『コレは、ビキニだよ!
今日島に着いたらすぐに泳げるようにね』

「そうか。」

『ねぇ、どう??カワイイ?』

「ぁあ、カワイイな」

『へへっ、ありがとう!!』

前髪を耳に掛けるテレた仕草で
笑う未来に、日に日に見惚れてく…

そんな錯覚も今じゃ、ちゃんと現実だ。

「いつも素直にしてればカワイイのに」

『うん?何て??』

「いいや。――それより、未来
ちょっと…こっちに来い」


『なーに?』

首を傾げながら、傍へ寄って来る未来に
”朝だけでなくいつもこうなら…”
っと、心底そう思ってカップを机に置く

『ちょ…いきなり何ッ?!』

「…朝の挨拶」

『それなら、口で言えば済むでしょう?!』

「――…キスさせろ。」


×××…
((んー…))
((未来が好きだ))
((じゃあ、いいよ!!))

ぁあ、未来はいつでも”自分の感情”に
素直に従ってるのか――――…

 

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