KID
□特別な時間
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『キッドってさ、不器用そうに見えて実は器用だよね?』
「そりゃ褒めてんのか?だいたい千鶴が不器用過ぎるってだけだろ!」
『そんな事無いと思うけどな〜ぁ…』
「だったら自分で塗れ!何だって俺がこんな事しなきゃいけねーぇんだよ?」
『だって、あたしじゃこんなに早く綺麗に塗れないんだもん!』
エナメル色の赤が塗られた両手の爪を眺めながらくふりと笑みを溢して、しかめっ面して足の爪にもハケを滑らせるキッドに視線を向ける
『―――それに、この時間だけはあたしのものって感じで。キッドにマニキュアを塗ってもらうの好きなんだけどな〜』
「…ハッ……いつになく上等な誘い文句吐くじゃねぇか?」
『ずっと探しててやっと見付けた色だからかな?足の爪が完成したらいいよ!』
何処にでもあるような赤じゃダメ。黒っぽさも混じっててだもちゃんと赤くて、それでいて何処と無く光を帯びてるような赤
そんなイメージ通りの”赤”を見付けた瞬間値札なんてろくに見もしないで棚に並ぶそれを買占めてた
「その科白……後悔すんなよ?今更撤回なんてさせねぇからな!!」
『そんなのどっちも有り得ないよ?ねぇキッド、あたしがどうしてこの色を探してたかわかる??』
「さぁな。ちゃんとした理由なんてあんのかも疑問だな」
『キッドの赤と同じ色だからだよ!だからずっと探しっキャ、ぅ!?』
まだ言い終わらない内に反転した視界に映ったのは船室の天井とキッド、それから―――キッドと同じ赤に塗られた自分の両足
『ちょっと、キッド待って!!まだ完成してないしこの体勢は恥ずかしいよ!』
「今更待つかよ!足の爪も塗り終わった。こうやって肩に担いでりゃ問題もねぇ、何より煽ったのはお前の方だからな千鶴」
お楽しみはこれからだろ?
『ちゃんと乾くまで待って!!って言ってるだけなのに短気な男は嫌われちゃうよ?』
「千鶴が俺を嫌いになる事なんて、俺が海賊王になれない事よりもあり得ねーな!」
『自信過剰だな〜…でも、キッドならなれるよ海賊王に!』
「ハッ…、当然だろ!!」
…………)atogaki(…………
裏に挑戦!と意気込んでみたものの挫折。やっぱり私に裏を書く技量は無いんだと再確認しました!
これからもぬる〜く微裏(にもならない作品)を書いていくつもりです(笑)