KID
□クールのヤツら☆
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「…てめぇら、こいつにこんな事して覚悟は出来てんだろーな?」
そう言ってキッドが半歩足を踏み出すとじゃり…っと地面が擦れる音がして次いで聞こえたのは
あたしを取り囲んでた数人の女子達の息を飲む「ひィ…、」と乾いた音。
『ははっ………』
こんな状況で”被害者”にあたるあたしが笑うのはどうかと思ったけど、込み上げてしまった物は仕方ない
「随分と余裕そうだなぁ?!俺の助けは必要無かったか?」
『いや、そんな事無い嬉しいよ?』
「…打ち所が悪くて狂ったのかと思ったけど違ったんだな。」
『ごめんて。空気を読まないで笑っちゃったのは謝るよ『ゴメンなさい』。でも、仮にも自分の彼女捕まえて
「狂っちまった」は失礼過ぎるんじゃない?』
「はっ、本当の事だろうが!」
『だからこそ傷付くって場合もあるんだよ?ばかキッド』
「真性の馬鹿に「ばか」って言われちゃお仕舞いだな。」
『本当に酷い言い種だね………それでもキッドはあたしの”彼氏”なの??』
「ふざけんじゃねぇよ―――だれがお前のだよ?!てめぇが”俺の女”なんだろうが!!」
それってどっちも同じでしょ?って言葉は言わずに、そんなふうに言ってもらえて『嬉しい』と思った
その気持ちごと飲み下して痛むお腹に手を当てて何とか身体を起き上がらせる
「大丈夫かよ?そうとうキツそうだな…」
『これはクリーニングに出さなきゃ駄目そうだね。あ、でもその前に裂けちゃった所縫わなきゃだなぁ……』
「馬鹿野郎!!そんな事を言ってんじゃねぇよ、ちょっとは自分の身体の心配をしろ!」
力任せ――殆ど無理やり立ち上がらされて(痛みに)引き攣ったあたしの顔を間近から覗き込んだキッドは
心配そうに切れた口端を親指で拭って、何度も血を舐め取った後にやけに可愛らしいリップノイズのキスをした。
「…――そういやぁ、彼奴等は何処に行きやがったんだ?」
『あたしらが話してる間に逃げたよ?』
「てめぇは”それ”を黙認してやがったのか?」
『どんな理由であれ”女子を殴る”のはマズいでしょ?』
「……千鶴は、それでいいのか?」
『カッコいいキッドが見れたから『それで良し』とするよ!』
モテる男の女って大変だね?
「次こんな事があったら、デカい声で俺を呼べ。何処からだって駆け付けてやるよ」
『そんな事言ってあたしが”自惚れ”たらどうするのさ?』
「はっ…、てめぇは”それくらい”じゃなきゃ足りねぇんだよ!」
『―――そんな恥ずかしい事よく言えるね?』
「それを素面で聞いてるお前にだけは言われたくねぇセリフだな。」