KID

□まにきゅあ
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一体、今度はどんな趣向の悪戯なのか??
何の気紛れか知らめえが…
黒いマニキュアを右手に握り締めて
俺の部屋にやって来た千鶴は

椅子に座る俺の足の上に座った
かと思うと――俺の意思なんか丸無視で
マニキュアの蓋裏に取り付けられてる
小さなハケでとろりとした冷たい液体を
掴み取った俺の左手の爪に塗ってく。


その作業は正確無比で、それでいて
手早く綺麗な仕上がりだ

「なかなか、上手いもんだな??」

『お褒めいただき光栄です』

「…ケッ!!―――見え透いた嘘も
これだけ堂々と言えりゃたいしたもんだ」


『何も聞かずに塗っちゃったけど
マニキュアが乾くまで何も出来ないから
キッドを退屈にさせちゃうかな??』


「別に。んっな事はねえよ」

『そう??それならいいんだけどね〜』


婉然と微笑みを浮かべた千鶴は
一度、此方へ向けた視線を
新たに掴み取った右手に向けると
小指から順に爪を黒く塗ったくってく

俺はその様子を千鶴越しに見遣り

華奢な肩にアゴを乗せて
細腰に回した腕で柔らかく温かな腹を
左手の平で撫で回して遊びながら
ぼんやりっと――――それを眺めてた。


『すぐ済むからおとなしくしててね?』


「…ハッ!!俺はガキじゃねえんだ。
んっな、宥めるみてえな言い方すんな」

『ふふふ、それもそうだねゴメンゴメン!!』


×××…
((だから、それが
そもそもガキ扱いだってんだよ!!))
((それは、キッドの自意識過剰だよ?))

 

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