KID

□なにも知らない
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派手な化粧に露出度の高い服を着て
男を巧みに誘う女なら
これまで何度だって抱いて来た。

好きだの愛してるだの、そんな面倒くせえだけの
言葉なんて口にしなくたって、
組み敷いた女の中に打ち込んで腰を激しく振りゃあ
大抵の女は嫌気が差す甘ったるい声を出す。


…早い話しが、惚れた女じゃなくても
SEXすりゃ感じるし――
そのテクがありゃ達する事だって出来る!



「お前、本当に初めてだったんだな?」


『うん。もしかして嘘だと思ってたの?』

「…あぁ。」

『ヒドいなーっ!!』

今まで娼婦ばかり相手にして来た俺にとって
コイツは”初めて”の素人―――…

「本当に初めてのヤツが
会ったばかりの男にほいほい付いて来るのは
おかしい。って誰でも思うだろ?」

『だって、一瞬で奪われちゃったんだもん!』

「ぁあ゛?!」


『…この――赤にさ?』

言って、俺の髪を撫でる女に

そう言やあ、最初に街で会った時から
そんな事を言ってやがったな…コイツは。


裏も表も無い”キラキラ”とした
純粋そのものな瞳をして
”キレイな赤だね?”っと言ったコイツの方が

―――俺はキレイだと思った。


だから、”その気があるなら付いて来い”っと
そう言って、連れ込んだのが
この街外れにあるホテルだった

『この島のログを溜めたら
すぐに次の島に行っちゃうの??』

「あぁ」

『…あと、どのくらい?』

「明日の夕方には出航する。」

『そうなんだ』

この島でのログは4日と半日…
夕方まで居るのは傷付いた船の修理に
少し時間が掛かってるからだ。


寂しいって感情を隠そうともせずに
静かに言葉を吐いて…
俺の髪を撫でてた手を離す女に

どこかで「惜しい」と思ってる自分が居る



「その気があるなら、一緒に来るか?」


『いいの?私、女だし、何も出来ないよ?』

「別に、1人くらいなら
そうゆうヤツが居たって構わねえよ。
それが”お前”ならな?」

『嬉しい!!ありがとう!!』


あーぁ、この瞳だ――――
この瞳を見た時から俺はずっと……

”欲しい”っとそう思ってたんだ!!


「お前、名前は?」

『私は、千鶴。貴方は?』

「俺は、ユースタス・”キャプテン”・キッドだ」


×××…
((ねぇ、さっきの言葉嘘じゃないよね?))
((俺は嘘は言わねえよ!!))

 

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