KID

□ファーストキス
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快晴の空の下、甲板の上で
今後の進路について話してると―――

パタパタっと軽い足音を響かせて
背中に飛び乗って来た人物を
睨み付けて文句の1つでも言おうと
小せぇ頭がもたれてる肩に視線を向ける


「千鶴、飛び付くなって
毎度毎度何回言わせりゃ理解するんだ?!」

いつもなら、此処でニコニコと
笑みを浮かべて『おはよー』なんて
頬に2、3発キスしてくるんだが

今日はそれも無く、無反応な千鶴に
違和感を覚え目の前に居るキラーに
視線を向けるが、首を傾げる

当たり前だ。――コイツの”男”
である筈の俺に解らない行動を
キラーが解る訳がない。

「…おい、何があったんだ千鶴?」

自分でも驚く程、優しい声色に
嘲笑しながらも千鶴の髪を
グシャグシャと撫でてやれば……
ゆっくりとした動きで頭を持ち上げる

『…キッドーぉ!!』

「情けない声出してんじゃねーえ!!
一体、何があったってんだ!?」

『きっ、』

「き?!」

『キモチ悪い――夢、見ちゃった!!』


「はあぁあ゛?!!」


―――”キモチ悪い”なんて吐かすから、
具合でも悪いのかと思えば
夢だと、吐かしやがった…

ガキじゃあるまいし、いちいち
夢見たぐれえで大騒ぎすんじゃねえよ!!

それが本心だったが、
涙ぐむ千鶴を見てそれは言えなかった
…ったく、どうしちまったんだ俺は?!


『だってさ、聞いてよ!!』


「何だっつぅんだよ??」

『あたし”夢で”だけど
キモチ悪いヤツにキスされたんだよ?!』


夢と聞いて――一度は、呆れたものの
”キスされた”と聞かされれば
面白くない気持ちの方が勝るんだから

俺も体外、千鶴に惚れてるらしい。



「その”キモチ悪い”ヤツってのは
どんな野郎だったんだ?」


『食虫植物みたいな赤いチューリップ!!』

「ぁあ゛?!」


『ぁ、でもソイツやたら上手かったの!!
最初キッドにキスされてるのかと思った』

確か俺が初めて千鶴にキスしたのが
昨日の夜、寝る間際だった…
って事はその”キモチ悪い夢”ってのは
そのまま俺のイメージなんじゃねえのか?!


×××…
((…喧嘩売ってやがるのか?))
((何でそうゆう事になるのォ??!))

 

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