MARCO

□きみの傷を癒したい
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「悪いねい待たせちまったよい。流石に評判の店とあってこれっぱかしの物を買うのに手間取っちまった」

『ありがとうマルコ』

「100ベリー硬貨3枚分以上のチップ貰っちまったねい」

『飲み物もだけど、一番はこのチョーカーだよ?サイズやデザインだけじゃなくて素材や装飾品にまで拘ってたって』

「………あの女狐店主余計な事を。こんな事ならちゃんと口止めしとくんだったよい!」

後悔先にた立たず。今更遅いが「安物だ」と言って渡した手前ばつの悪さから我知らずに舌打ちとため息が口を突く
それでも目に付くのは嬉しそうにチョーカーの入った箱を撫でる雛姫の笑顔で……

「――…俺ぁ、こんな身体してるから傷が残るなんて事は無ェし。まして男だ例え残ったってどうって事は無いとも思う」

『マルコは優しいね?わたしがいつまでもこんな包帯しtるから気に掛けてくれて…ゴメンね、ありがとう』

「そうじゃねェ雛姫が隠したい傷跡なら隠してればいい。ただしこれからはこいつで隠してくれよい?」

雛姫の手を上から包む様に箱を握って、空いたもう一方の手で首に巻かれた包帯を撫でる――――
不死鳥の青い炎が傷を再生するってんなら俺は俺自身の傷なんかじゃなく大事な誰かの傷を癒せる能力がよかった

『…んふふ、マルコくすぐったいよ?』

「こうやって撫でて傷を治してやれりゃぁいいのにねい。てめェの傷しか治せないなんてもどかしい能力だよい」

『そんな事気にしなくて大丈夫だよ?傷は治らなくてもマルコがくれたこのチョーカーが癒してくれるから』

「そう言ってもらえると報われるってもんだ!バレた序でにもう1つバラしちまうと、この色の石を探すのに方々飛びまわったんだよい」

『こんなに素敵な色だもん!わたしよりマルコの方が似合うかもしれないね?』

「冗談だろい。こいつは雛姫の為に誂えさせたんだ雛姫のもんだよい!」

箱から取り出したチョーカーを片手に包帯の止め具に指を掛ける。途端に悲痛そうな表情を浮かべる雛姫に
大丈夫だと言って足元に視線を向けさせる――何の変哲も無い石道路に見えるかもしれないが俺達が立ってる所を中心に輪が描かれていて
その溝の所々には金属で縁取られた小さな穴があって、決められた時間ごとに其処から水が吹き出てくる仕掛けになっている

飲み込まれた噴水の中で

『ひゃ、ッ……!?』
「ビックリしたかい?この中でなら付け替えられるだろい?」
『…ぁ……、マルコはキザだったんだね』




…………)omake(…………
「そんなら、このまま消える事にしようかい。噴水がやんだら居た筈の人間が居ないなんてマジシャンみたいだろい?」
『ふふふ、マルコはマジシャンだよ?わたしの首の傷をチョーカーに換えちゃったんだから!』
「あぁ、しっかり捕まってろよい?」
『こんなに水飛沫が舞ってる中で不死鳥になったりして落ちない?』
「こんくらい何でもねェ、急上昇するから振り落とされんなよい!」

 

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