MARCO
□離したくない
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『あのー…わたし、何で此処にいるんでしょう??』
「起き抜けに何を言い出すかと思えば――雛姫は記憶喪失にでもなっちまったのかい?」
『いえ。そうゆう訳じゃなくてですね?記憶はあるにはあるんですけど途中からすっぽりと抜け落ちてると言いますか…』
「そうだろうねい。もう一息で終わるって頃には寝息を立ててたんだからよい」
遠征から帰って来てみれば自室の机に雪崩が起こっても不思議とは思わない程の書類が積み上げられていて
それを必死になって減らしてる雛姫の小さな背中も見えた。背後の俺の存在にも気付かずに書類と向かい合ってる姿を見て
状況はまるで違うのに頬袋いっぱいに餌を詰め込むシマリスが頭の中にぽんと浮かんで堪らず吹き出した
そらから一緒に書類をやってたんだが俺が気付いた時にはソファーに座ったまま雛姫は眠っていて…
『すみません!!疲れて帰って来る隊長の負担を少しでも減らそうと思っていたのに、居眠りしたうえにベッドを半分占領してしまって』
「参ったねい。てっきり怒られるとばかり思ってたんで謝られた時の対処法は考えてなかったよい」
『どうしてわたしが隊長を怒るんです?叩き起こす事も放り出す事も出来たのに隊長はベッドを半分貸してくれたのに??』
「そこまで信用されて言いづらいんだが、俺ぁそんなにいいひとなんかじゃねェよい」
座ったままじゃ辛いだろうと抱き抱えた時には他に他意なんて無かったが、その瞬間まるで狙ったみたいに寝言で名前呼ばれて
元より燻ってた下心が煽られてベッドに運ぶとそのまま自分も隣に寝転び掻き抱く様にして眠りについた。
『隊長はいいひとですよ??』
「…隊長、か……昨夜みたいに名前で呼んじゃくれねェのかい?」
寝言
『へっ、エ………えぇぇええッ!?』
「邪魔なもんは後にくっ付いてたが、マルコ隊長って呼んでくれたろい?」
『すみませんっ!!わたし寝惚けてて、本当にすみません!!』
「別に怒ってなんかいねェよい!でも、そうだねい…もう一回呼んでくれたらこの腕を退けてやるよい?」
『そそっ、そんな事……出来ないですよ!!』
「そんならこのままだねい。俺はもう一眠りさせてもらうよい!」
…………)atogaki(…………
寝言で誰かの名前を呼ぶ事なんてあるんでしょうか?
noraは自分の寝言で起きた経験があります(笑)