MARCO

□貴方に捧ぐ
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「他人の部屋に黙って入って来る奴があるかい?」

『ゴメンナサイ。コンコン、オジャマシマス。』

抑揚の無い片言の棒読みに苦笑しつつペンを持ったまま椅子の背凭れに肘を乗せて振り返れば、悪戯っ子宜しく笑みを浮かべた雛姫がベッドに腰掛ける
幾ら兄・妹の様に思う間柄でも夜半過ぎに押し掛けるのは如何なものか?と浮かんだ疑問はすっかり温くなったコーヒーと一緒に飲み込んだ

(ソファーなんて気の利いたものは無いからベッドに座った事には目を瞑る)

『……ねぇ、マルコ問題です!』

「…(相変わらず)藪から某だねい?」

『考え抜いた結果”絶対に負ける”と解ってる戦いが目の前にあったとします!』

「ほーぉ…そりゃまた、難題だねい?」

『ふふ、でしょ?―――さて、マルコならどうしますか?』

束の間のペン休め。子供騙しの言葉遊びだと、始めこそそんな風に考えてたが……ふと打つかった雛姫の真剣な目を見て
ポーズだけの考える素振りを解き椅子の背に肘を付いた手で頭を軽く支える

「潔く諦める!――…っと言いたい所だが、引けない戦いなら”戦う”よい!」

『負けると解ってるのに?』

「それは頭で考えた結果だろい?実際に戦って出た結果じゃない。だったら行動してみなけりゃ本当の結果なんて解らねェんじゃないのかよい?」

『足掻けるだけ足掻くって事??』

「そうゆうこった!!俺ァ海賊だからよい欲しい物は奪う!それが負け戦の勝利でも同じだよい」

『海賊だから”欲しい物は奪う”か……、それじゃーわたしも海賊だから奪ってみせる事にするよ!!』

憑き物が落ちた様な顔をして立ち上がった雛姫に悩み事は解決したかい?と聞けばにっこりと笑って頷く

そんならよかったと安心してた俺の目の前に立った雛姫は両手の手首をぎゅっと握って覗き込むように視線を合わせると
口唇が僅かに触れる距離で小さく囁いて―――ちゅっ!!と可愛らしいリップ音を残して静かに部屋を出て行った。

わたしの初恋をあげる

妖艶なまでに婉然と笑みを浮かべた顔と口唇に残る柔らかい感触に今更熱を持つ頬を手の平で覆って項垂れた……
(すっかり仕事所では無くなってしまった―――)
(まだまだ子供だと思ってた妹に、知らない女を見せ付けられて……簡単に奪われた、なんて)

(…………一体、どうしてくれようか?)




…………)atogaki(…………
草食系ヒロインより肉食系ヒロインの方が書いてて楽しいです!!プラスα天然がイチオシ☆!!(笑)

 

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