MARCO
□あわいいろ
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『――んー……っと、これっくらいかな?』
「5…6センチてェとこかねい?」
『じゃあ、6センチにしようかな!!ねぇ、マルコ?ヒールとサンダルならどっちがいいかな?』
爪先立ちの目測採寸が終わるとふーぅっと一息ついて踵を床に落とした雛姫は
それまで支えとして掴んでいた俺の腕に両手を添えたままこてんと小首を傾げて見上げる―――……
「それは行ってから決めるって言ってなかったかい?」
『そうなんだけど、せめてどちらかに決めておけば迷いも少なくて済むかと思って…』
そん時は迷ったもん全部買っちまえ!っと思ったがその言葉は寸での所で飲み込む。
普段から遠慮しいで物欲も乏しい雛姫が久し振りに自分から”欲しい”と言ったんだ
目に止まったもんは片っ端から買ってやりてェくらいだが、それをすれば慌てた雛姫が「いらない」と言い出し兼ねない
「――そうだねい…ヒールの高さは10センチ。靴かサンダルで迷った時は俺が見立ててやるよい!」
『マルコが??』
「俺が選ぶんじゃ不服かい?」
『ううん!嬉しい、スッゴく嬉しいよ!!』
「そんならよかったよい」
ニコニコ笑う雛姫に当てられる様に緩んだ視線を向け、背中の真中まであるさらさらのロングヘアーに指を通して梳く様に撫でれば
ハニカんだ雛姫が頬を染めて俯く。まるで「もっと撫でて?」と強請られた様だと嫌がられないのをいい事に何度もそうして撫でていれば
ゆるりと顔を上げた雛姫が何処か恥ずかしそうに視線を泳がせながら俺を見上げる
『わたしね、マルコ――…マルコに頭撫でられるの好きだよ?』
「……ぁあ、俺もだよい。俺も雛姫の頭を撫でるのが好きだよい」
『島に着くのが楽しみだね!』
「もう直だよい、島は見えてるんだからない」
庇護欲の内側で掻き立てられる淡い感情を何と呼ぼうか?
「なー、サッチ…此処が食堂だって教えた方がよくないか?」
「放っとけ。(マルコは知ってるだろ)触らぬ神に祟り無しだ!」
「神って、俺はマルコと雛姫の事言ってんだぞ?!」
「エース”人の恋路”を邪魔すると馬に蹴られるって知らないのかい?」
「まー、この場合”馬”じゃなくて不死鳥の蹴りだけどな」
「………そりゃ、関わらねー方がいいな!マルコの蹴りは痛ぇし!!」
…………)atogaki(…………
マルコに「俺が選ぶんじゃ不服かい?」が言わせたくて突発的に書いたのですが…
noraのお気に入りは最後の会話だったりします(笑)ちなみに会話してるのはサッチ、エース、イゾウです。