MARCO

□完璧な彼女の欠点
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『マルコ隊長、頼まれていた書類です。
少し遅くなってしまったんですが
期限までに間に合いますか??』

そう言って胸に一抱えの書類の束を手に
やって来た雛姫を部屋に招き入れ
ソファーに座らせると受け取った書類を
上から数枚ぺらぺら捲って確認する

丸っこいが綺麗な字で丁寧に書かれた
それは要点だけが解りやすく完結に
書かれていて例えばもしも何も
知らない奴が読んだとしても一目瞭然で
事情を読み取れてしまえる程に思えた


「ふぅー…、参ったねい……」


『ぇ、何か間違えてましたかッ?!』

「いいや。何も間違ってないよい」

『だったら、何で参った…なんて?』


ソファーから立ち上がろうとするのを
制止するように隣に座ってそうじゃない
っと首を振って答えたのが伝わったのか
今度は首を傾げて俺を見上げる
雛姫の頭を優しく撫でやった―――…


「ここまで完璧にやって退けられると
手を貸す事が無くなっちまうねい」

『それは、最初に丁寧に教えてくれた
マルコ隊長のお陰ですよ!!』

「そう言われると…弱るよい。」



1人で膨大な量の書類整理をしてた頃は
誰か出来る奴が早く現れないかと
切実に願ってたし、実際にデスクワークは
好きだとそう言った雛姫にやり方を
教えるのは殊の外簡単だった。

1を聞いて10を知るじゃないが……
本当に雛姫は飲み込みが早くて
こうして仕事を任せても期限よりも早く
2日、3日前には必ず渡してくれる


『他に何かお手伝い出来るような事は
ありませんか??っといっても書類整理か
作成くらいしか出来ませんけど…』


「急ぎの物は無いし、俺も一段落して
他に回す仕事は何も無いよい」

こう手持ち無沙汰になっちまうと
俺の方が仕事が欲しいくらいだと冗談を
言ってみれば、少しは休んで下さい!!
っと強く言われてしまう――――

『何もする事が無くなったなら
目一杯暇を満喫すればいいんですよ!!』


「暇を満喫ねい…」

『あれ…私、何か変な事言ってます??』

「そんな風に考えた事なかったよい。
だったら雛姫も一緒にやるかい?」

『それじゃあ、お茶にしましょうか?
マルコ隊長はコーヒーがいいですか??』


暇を満喫すればいいなんて言っといて
せかせか動き回ろうとする
雛姫に苦笑いを零してそれも制止する

「何もしないで暇を満喫するんだろい?
お茶もコーヒーもいらねぇよい」

『でも、せっかく2人でするなら
普段は余り一緒に出来ない事をしないと
勿体無いような気がしませんか??』


「だったら、とっておきのがあるよい」

『とっておき…ですか??』

「甘え方教えてやるよい」


雛姫は、しっかり者だから普段から
人に甘える事をしない。充分してるっと
本人は言ってるが…それは自称だから
どうだか怪しいものだと思っていたし

普段余り出来ない事――をするなら
この際うーんっと甘えさせてやりたい
そう思って言ったが雛姫は酷く
困惑した様子でこれでもかと首を捻る。


『…私、いつも甘えてますけど??』


×××…
((当者比じゃなく、俺がそれと解るくらい
雛姫に甘えて欲しいんだよい))
((そう言われても…困りますねー))

((だから教えてやるって言ってるだろい))

 

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