MARCO

□下心の引き金
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取り急ぎやらなきゃいけない書類は
粗方片付けてしまって、後に残ったのは
ゆっくりやっても構わない書類が数枚

それでも机の上に手を付けてない
書類が残ってるのはどうにも気になる。


仕方が無いから食堂へ行ってコーヒーでも
貰って来たらそれを飲みながらゆっくり
片付けてしまおうと思っていた所へ
まるでタイミングを計っていたかのように
雛姫がポットとカップを持参して現れた



『お仕事の邪魔じゃなければ
一緒にコーヒーを飲んで休憩しない?』


「…丁度、飲みたかった所だよい」


『本当?!それならよかった』


一緒にしてもいい?っと聞く雛姫に
そのつもりで来たんだろいと言って
今までよりも更にドアを開ける事で
中に入る様に示せば少し首を傾げながら
一歩踏み入った所で立ち止まり
くるりと振り向き様に―――……

『こんな遅い時間だし、もしかしたら
マルコは部屋に入れてくれないかもって
思ってたから、何かちょっと嬉しい!!』


「言われてみれば…そうだったねい。」

雛姫が言う程には、まだそんなに
遅い時間だとは思えないが男である俺の
部屋にやって来ていい時間はとっくに
過ぎてしまってるだろう


『今更、追い出したりしないよね??』

今になってそれが解ったからといって
それこそ今更だと、首を横に振りながら
小さくため息を零してベッドに座る。


「最初に気付かずに部屋に入れた後で
今更そんな事しないから安心しろい」


『よかった!!すぐに用意するね!』


俺がそう言った事で安心したのか??
満面の笑顔を浮かべた雛姫は
ベッドを背もたれ替りに床を陣取るっと
持ってきていたバスケットの中から
取り出した白いマグカップにポットの
コーヒーを注いで1つを差し出した

俺がそれを受け取ったのを確認すると
何やらまたバスケットの中をゴソゴソして
握った手の平を広げる

『ありあわせでコレしか無かったの』

そこには小さなチョコレートが
2つ乗っかっていて、俺にだと言うから
ありがたく1つ貰うとすぐに口に入れた

甘い物は得意じゃないがコレは
後を引く甘さも無くて食べやすい

『疲れてる時は甘い物がいいって言うし
私はいいから、もう1つもどうぞ?』


「それは雛姫の分なんだから
雛姫が食べていいよい」

このチョコレートなら幾つも
食べれそうだったが、2つしか無いのなら
1つずつ食べればいいのだし

雛姫の好物でもあるからそう言ったが
小さく首を左右に振って拒むと
包みを開けたチョコレートを指で摘まんで
俺の口元に差し出してくる。

『私がマルコに食べて欲しいの』

足元から覗き込む様にしてそう言われ
ため息をつく。…雛姫にでは無く

差し出されてるチョコレートを丸無視して
勝手に脳内変換してしまった願望の方にだ


「……これじゃ生殺しだよい。」

自分自身で招いた事とはいえ少なからず
俺が雛姫に寄せてる想いの下心の
引き金に指を掛けたのは雛姫で……

そうとでも吐き出さずには居られナかった。


×××…
((…私、マルコに何か変な事した??))
((よいよい。雛姫の所為じゃないよい))

 

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