MARCOU

□ラブシーンには程遠い
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「欲しいのはこの本かよい?」

『あ、…りがとー』

「どういたしまして。―――不便そうだねい?」

『……そりゃー最初はね?でも今はもー慣れたよ!慣れればどうって事も無い!!』

利き腕が頭までしか上がらない事に不便だと感じた事はあったし、慣れた今でも時々そう感じる事もある
でも、ただの1度だって“どうしてあの時”とか“なんであたしが”なんて考えた事が無い。
取ってもらった本の表紙を一撫でして本棚脇の壁に凭れ掛かり目的のページを開きながらふとそんな事を考える

「……そんなもんかねい?」

『――…えぇ、そんなもんですよ?あたしより長生きしてるんだし隊長殿にも心当たりの1つや2つあるんじゃないですか??』

「さて、どうだったかねい。遠い昔の事なんで傷の痛みも不便さも忘れちまったよい。」

『能力者になったのは海賊になるずっと前の話しだったっけ?でも、能力者ならではの不便さにも似てるんじゃないかな?』

「……――――それなら俺にも解りそうだが“肉体的”と“精神的”は違うだろい?」

『それで行くと、我が隊長殿の“不便さ”は計り知れないものって事になるね?』

「今は“重さ”の話しをしてんじゃねェよい!」

そんな顔しないで

『家族が無事でよかったじゃない!そう考えればいいと思うけど?』
「1人は無事だったが、――今目の前に居る家族が無事じゃなかったもんでねい?」
『………あー言えば、こー言うんだから!!』
「事実だろい」




…………)omake(…………
「…フィユ〜ゥ!!……うぉっと、こいつはラブシーンのお邪魔しちまったか?」
『どう見たらそう見えるの?』
「最初から聞き耳立ててたくせによくそんな事が言えたもんだよい。」
「偶然よ、たまたま偶然!!通り掛ったら中から話し声が聞こえてきただけ!つうか、お前らいい年してその体勢で話す話題は他に無いわけ?!」
『いい年して“プレイボーイ”気取りのサッチには言われたくないんだけれど?』
「黙らっしゃい!!褒め言葉はもらっておくが、“壁ドン”なんてラブシーン必須の事やっといて理論・論理の口論するのは間違ってんだろ?」
「間違ってるのはお前だよいサッチ。褒めたんじゃなく皮肉を言われてんだよい」
『あたしは事実を言っただけだよ』
「お前らタッグ組むと最悪だな、……解ってたけど。」

 

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