MARCOU

□上手なれ。
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『コンコン、晩飯の配達に伺いましたー!』

「ノックは口じゃなくドアを叩くもんだよい」

『マルコにしては随分時間掛かってんじゃん?昼飯にも晩飯にも顔出さないなんてさ?』

「序でに言うとノックしたんなら返事があるまで入らないのが常識だよい!」

『小言はいいからこっち来てさっさと飯食えよ。空いた器下げるまでが依頼なんだからさ!』

「頼んでもねェ晩飯の配達を俺に代わって依頼したのは何処のどいつだい?」

『依頼人の見当くらい付いてんでしょ?ちなみに依頼書の捺印は親父でって事は口止めされてないし教えとくよ!』

今の今までちらっとも目をくれずに書類に集中してたマルコも親父の名前を出した途端にぴたりと手が止まって視線をくれるんだから
親父は何処までも偉大だと変な感心をしながら丁寧な動作でもって椅子に座るマルコをベッドへと誘導する
その責任感の強さから仕事と飯を天秤に掛けてたようだけど”親父”ってキーワードにマルコの天秤は飯に傾いたようで…

ベッドに座り観念したように晩飯に手を伸ばしたマルコを見て空いた椅子に座り書きかけの書類に目を滑らせる

「食ったら自分で下げるから雛姫は戻っていいよい」

『話し聞いてなかったの?空いた器下げるまでが仕事なんだよ、遂行すれば親父から秘蔵の酒を分けてもらえるんだ!』

「―――そりゃぁ法外で魅力的な報酬だねい」

『ぁあ、だから報酬貰ったら寝酒に付き合ってよ!サッチには肴を注文済みだからさ?』

「用意周到なこったよい!そんで雛姫は今何してんだい?」

『暇だしマルコが飯食い終わるまで交代しとくから、飯くらいゆっくり味わって食えよ!じゃないと飯が勿体無いからな』

「飯が勿体無いか……そんじゃぁ、ゆっくり食わせてもらうかねい」

『はい、どうぞ召し上がれ!』

「頂きますよい」

好きこそものの

「それにしても、俺の代わりに書類仕事が出来るんなら何だって隊長の話しが出た時に断ったりしたんだい?」
『女の身で隊長なんて大役が務まるほど楽な仕事だとは思ってないよ』
「その俺らと対等に手合わせしといてどの口がそんな事言ってんだろうねい?」
『本気の手合わせで希に勝てたって、生死を掛けた戦いで勝てるとは限らないからですよー?隊長殿』
「書類仕事が嫌いだから断ったって親父から聞いてるよい」




…………)omake(…………
『……―――何だ知ってたの?』
「嫌いだって割には、いつもながら完璧な仕上がりだねい?俺専属の秘書にしてェくらいだよい」
『そんな最悪な仕事に就くなんていくら隊長命令でも御免だね!』
「報酬が酒なら?」
『物によっては、アルバイトくらいしてもいいかもね?』

 

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