MARCOU
□vigil
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『――…わっ、わわ…ぁ!!?』
「何やってんだよい雛姫?いくらクロヒョウでも流石にこの高さから落ちたら怪我するよい」
『そう?そんな事無いと思うけど』
「あってからじゃ遅いだろい!まったく。気配が消せるゾーン系ってのはこうゆう時不便だよい」
踏み外した縄梯子にしがみ付いてぶら下がってる雛姫を見張り台に引き上げてやれば、腕に掛けてたブランケットの隙間からバスケットが見える
『ありがとうマルコ』
「どういたしまして。それで、こんな遅くにブランケット持参でどうしたんだい?」
『マルコに差し入れのコーヒーと夜食に摘まめるサンドイッチを持って来たんだけど』
迷惑だった?と首を傾げる雛姫からバスケットを受け取ればほっとしたのか恥ずかしそうに小さく微笑む
下心のなせるわざか、男心を鷲掴みされるような仕草にどうしてくれようかと思案―するだけ―していれば
今度は非力な力で腕を引かれて見張り台の床に座らされて―――あろう事か俺の足の間に座った雛姫は広げたブランケットを足に掛ける
「此処に腰を落ち着けて、俺と一緒に不寝番する気なのかい?」
『さっきまで親父さまの部屋に居たんだけど落ち着かなくて………』
「―――それで俺んとこに来たのかい?差し入れ持参で」
『やっぱり、迷惑だった?』
「いいや。ありがてェよい!でも次来る時は手ぶらでも構わねェから一声掛けて欲しいもんだねい」
『大丈夫、さっきは失敗したけど次は頑張るから』
咄嗟に口走った「次」という言葉に自分自身が驚いたってのにさらりと肯定された『次』に膨らむ期待と自惚れに自嘲する。
ふたりきりの夜。
『此処で寝てもいい?』
「風邪引くよい」
『平気。――こっちの姿になれば寒くないし、マルコを暖める事も出来るよ』
「人型のままでも充分暖かかったよい」
『人型に戻る?』
「いいや、このままでいい」
…………)atogaki(…………
マルコの自制心と理性との葛藤をもっと書きたかった気がしますが、だらだら長くなる事が予測された為強制終了。