MARCOU
□秋空心★
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「何だか雲行きが怪しくなってきたねい?」
『うん。…えっ?!何言ってるのマルコ?すっごくいい天気じゃない??』
「空の雲行きじゃなく雛姫のだよい!」
『………ゴメン、ますます解んないんだけど?ほんとに何言ってるの??』
「店を出た時―――いや、正確には店に入ってすぐくらいの時か?」
『気付いてたんだ』
「嘗められたもんだねい。俺に隠し事が出来ると雛姫は本気で思ってんのかい?」
『ゴメンナサーァイ!!』
適当に街をぶらついてその序でに近くまで来たからとイゾウの店に顔を出してみたんだが……それの何がいけなかったのか?
店に入る前と入った後、出た後とじゃぁ三者三様にまるで違う。それでいて悪い方へと転がっていくんだから
内心一人で考え込んでたって埒が明かない――かっこ悪かろうが情け無かろうが直接聞くより他に近道がない
『パフェのチェリーあげるから許して?』
「あげるじゃなく”やって”の間違いだろい。それに謝罪より理由が知りてェんだがな俺は?」
『うー…ん、言っても怒らない??』
「心当たりも検討も付かねーよい!雛姫は俺に怒られるような事したのかい?」
『したんじゃなくて、これから言うかもしれないって事!でもやっぱ今の無し!忘れて!!』
「そう言われるとますます気になるが……」
『ぅへッ?!ちょっ、マルコ!クキついたまま食べたらt』
「…――雛姫が言いたくない事なら無理に聞かねェよい!」
ほんの少し生クリームのついたチェリーを茎の着いたまま口の中に放り込んで種と茎だけを手の平に出す
勿論ただ食えねェ物を出した訳じゃなくて茎は舌先でくるんと捻って結んだ物をペーパーナプキンの上に置いて雛姫に差し出す
「ほらよい!雛姫はこれが欲しかったんだろい?」
『うっそ、すごい!!全部一緒に入れたのに実だけ食べて、クキも結んである!!!』
「くっく…、こんな事で喜んでくれんだから雛姫には敵わねェなぁ」
『――……そっか、こんなんだか”子供っぽい”って思われちゃうんだね。』
俺が好きなんだから
「それでいいんじゃねェのかい?」
『…えっ……!?』
「それとも、そんだけじゃ雛姫には物足りないかい?」
『そんな事、全ッ然無いから!それだけあれば充分だよ!!』
「チェリーなんかよりも今の雛姫の方が食いでがありそうだねい?顔が真っ赤だよい?」
…………)omake(…………
「マルコが骨抜きにされた女ってのぁ、どんな娘さんかと思えば…まさかこんなお嬢さんだったとはな?」
「煩ェよい。そうじろじろ見んな怖がっちまうだろい!」
「おうおう、噂に違わぬ弱愛ぶりだなーぁ?昔のお前さんとは偉い違いじゃねーか」
「雛姫に余計な事吹き込んだら、いくらイゾウでもただじゃおかねーェよい!!」