学園アリス2まとめ

□好きだからさようなら
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 蜜柑と五島聖が出会ったのは本当に偶然だった。

 それは初めて櫻野や蛍の兄、昴と会った時と同じだった。

 けれど、その中で蜜柑がの目を引いたのは五島だった。

 優しそうな人だなと思ったと同時にどこかさみしい人だと。

 本心が見えない、そう思った。

 

 ある日、蜜柑は一人外の椅子に座っていた。

 特に用事もなかったので寝ようかなと思って目を閉じたときだった。

「佐倉さん?どうかしたんですか」

 声をかけてきたのは五島だった。

「え・・・と」

「五島です」

「あぁ!あんとき蛍のお兄さんと一緒にいた人や!」

 蜜柑は五島を認識するといつものように笑顔を向けた。

「こんなところでどうしたんですか?もう少しで授業が始まりますよ」

 五島は時計を見て蜜柑に告げた。

「今日はもう授業ないんです。先生が風邪だとか」

「そうなんですか。でも、自習とかは」

「珍しくないんです」

 ふふふ、と蜜柑は嬉しそうに笑った。

「じゃあ、僕は行きますね。熱中症には気を付けてくださいね」

 そういうと五島は去って行った。

 



 それから蜜柑と五島はよく会うようになった。

 目があえば会釈する程度だったが。

 いつしか、蜜柑は目で五島を追うようになった。

 会えればうれしい、胸がどきどきする。

 会えなければ落ち込む。

 誰かが言っていた、恋の症状にそっくりだった。

「もしかして、うち」

 そう思うと、顔が赤くなって、そして彼の顔が見たくなった。

 蜜柑は、それが初恋だった。

 だから、この思いをどうすればいいのかわからなかった。
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