BOOK
□もどかしい
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《理想の身長差は15cm!》
《長身の男性は長身の女性を好きになる傾向あり?》
『…っ』
夕食の買い物をしてフラフラと歩いていたところ目についた雑誌の見出し。見てみぬフリは出来ず思わず雑誌を手にとってしまう。
『…』
中には185cmだというモデルさんが身長差について話しているページがあった。小さい子も可愛いけど差がありすぎてもとか長身の女性はなんだか格好良くて好きだとか書いてある。
『…そう、なの?』
そんなとき同じ雑誌を取った多分高校生の二人組が追い討ちをかけるような会話をしているのを聞いた。
「長身の人ってこっちが思ってるよりわりと気にするよね、」
「あーうん、うん分かる。まあ周りから見てちょっと不恰好なのは否めないかんじ?」
『!』
決して自分の身長が低いと思ったことはなかった。160cmあるかないかだし世間一般に見れば普通ぐらいだろう。もう少しスラッとしていれば格好いいんだろうなくらいの悩みとも言えないようなことしか身長について思ったことはない。
けれど、さっきの雑誌と高校生の会話を聞く限り、私の中で至上最凶とも言える大きな悩みが出来てしまう。
(研二さんと私の身長差って…)
最近はかってはいないけどおそらく伸び縮みしていないだろうと過程して計算する。
(21cm…か、)
今考えると研二さんと話したあとは私の首は謎の凝りにおかされていたかもしれない。
そんな背の高い研二さんにアタックし続けて早半年。彼らが使う会場のスタッフとして働きはじめて研二さんに恋をした。最初は事務的なことを話すだけだったけど、最近は何気ない会話をしたり、飲みに誘ってくれたりもした。自意識過剰かもしれないが、多少は意識をしてくれているんじゃないかと思っていた。もしかしたらなんてことも考えていた。考えていたのに、
(…ほんとに自意識過剰すぎた)
もしかしたら元々私なんかに興味なかったのかもしれない。周りには可愛いファンの子がたくさんいるし。ただ私がしつこかったからかな。
彼はとってもとっても優しいから、
***
鬼「へえ、最近オトメン流行ってるの?」
樽「おと、めん?」
仕事は終わったが楽屋にはまだメンバー全員残っていて。そんなときに鬼龍院さんが口にした"オトメン"、ってなに?
喜「あぁあれだろ。料理とか裁縫とか趣味で可愛いもんとか好きな男、」
鬼「そうそう、じゅんくんみたいな感じで手先が器用だからきゃんさんみたいな感じの」
樽「…それって女の子みんな好いとる?」
歌「みんながみんなそうってわけじゃないんじゃない?まあ身長小さい方がいいとか言ってる子も多いけどねー」
樽「…!」
小さい。
■■ちゃんは小さい。
160cmくらいだった気がする。それに比べて俺は181cm。あれ、これって小さくなかと?今まで野球ばかりやっていたから正直この身長に悩んだことはない。むしろ感謝していた。けど、たしかに■■ちゃんと俺があるいてるよりきゃんさんと■■とかが歩いている方が自然、かわいい。
樽(■■ちゃんとはきゃんさんとか鬼龍院さんとかじゅんくんみたいな人がよかね…、)
もしかしたら最近仲良く話せるようになったのも兄のようなそんな存在で懐いてくれていただけかもしれない。
あぁ、
次にあったとき告白しようて。
そう決めとったんよ、■■ちゃん。
歌「研二さんおーい、どうしたの?体育座りなんてしちゃって。さっきから元気ないけど」
樽「何でもなかよ…」
鬼「研二さんえー、どうした…ん、…ああそうか。■■ちゃんのことか」
喜「え?あの研二が好きな可愛いスタッフの子?■■って言うのか」
樽「、その可愛い■■ちゃんも小さいオトメンを好いとったらおれ…」
歌「(小さいオトメンって(笑))まあさっきも言ったけどみんながみんなそうじゃないって!ね、鬼龍院さんきゃんさん!」
鬼「え、あ…そうだよ!大きい九州男児派かもしれないよ■■ちゃんは!」
喜「そうだそうだ!大きい九州男児の時代が来てるかもしれねぇだろ!な!」
『研二さんの好みになれたらいいのになぁ、』
「■■の理想になりたか、」
あぁこいつらもどかしい
(あ、でも大きい九州男児の時代来たら
俺とか終わりじゃない?)
(そっか俺もだ)
(僕もまだガーリーでいたいな)
(…ぐすん)
(あぁ研二さん泣かないで!)