tennis*short
□狂おしいほどに。
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「ねぇ、さやかはいつになったら僕を見てくれるの?」
普段の大人しい僕とは違いすぎて、混乱してるのかな?
その怯えた表情、ゾクゾクするなぁ。
さやかはどんな顔をしていても可愛いけど、怯えた顔がとても似合うね。
「周助ッ」
「クスッ。なに?」
「一体どうしちゃったの?私が悪いことしたなら謝るからぁッ!」
涙を流しながら僕に赦しを乞うなんて、本当に可愛くて仕方ないよ。
「許さないよ。」
なんで?
とでも言いたそうな顔してるね。
でもね、君が悪いんだよ。
僕以外の男と喋るなって言っても、喋ってるんだもん。
最初は僕にヤキモチを妬かせたいだけなのかと思ってたけど。
僕がどれだけ辛かったかわかる?
って聞いても、お馬鹿なさやかにはわからないかな。
「さやかはさ、僕のことが好きで好きでしょうがないんだよね?」
なるべく穏やかに、優しい声色で問い掛ける。
けど、さやかは黙ったまま何も答えない。
答えられないって言ったほうがいいのかもしれないけど。
だからそのまま言いたいことを言わせてもらうことにした。
「例えば
僕がさ、さやか以外の女の子と話してたら、いらいらするでしょ?」
ずっと泣いていたさやかは、黙って僕を見上げた。
「僕はこんなにもさやかのことを想ってて、さやかの全部が欲しいんだ。君も、もちろん僕と同じ気持ちだよね?」
さやかは俯きながら、うん、とだけ答えた。
「君が僕と同じ気持ちで安心したよ。」
ニコッと笑いかけたら、さやかの表情が和らいだ。
ホッとしているのかな。
ふふっ、よかった。
ドスッ―
僕は銀のナイフで彼女の左胸を刺した。
君は確かに僕の言葉に頷いた。
僕の気持ちはね…
"さやかを殺して僕だけのモノにしたい"
大丈夫だよ。
君も僕と同じだもんね。
僕も逝くよ―?
「愛してるよ、さやか。」
さやかに刺さったナイフを引き抜き、今度は僕の胸に突き立てる。
そして僕は絶命した。
不二夢END
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