tennis*short

□スキと言ってよ。
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倦怠期というやつなのだろうか。


あれだけラブラブだった私達。
毎日愛してるって言いまくってたくせに、もうしばらく言ってもらっていない。


ブン太は私のことを好きでいてくれてるのかどうか自信がない。
もしかして、
他に好きな人でもできたのかな?


嫌だ嫌だ嫌だっ!
そっけなくなっても、ブン太の彼女は私だもん!


…幸村に相談しようかな。


1人でいたら不安で押し潰されそうだから。
幸村を利用してるみたいで悪いけど。



「別れちゃえばいいんじゃない?」


幸村なら励ましてくれると思ったのに。


「でもッ」


「なんだい?」


「別れるなんてそんな…」


口では否定しているけど、確かに別れたほうがいいのかもしれない。

好きって言われたの随分前だし、私だけが会いたいって言ってるし。


「ふふっ。ごめんね、さやかが丸井丸井って言うから少し意地悪しちゃった。」


「でも、」


もう、無理なのかもしれない。
我慢していた涙が落ちた。
そして、溢れ出して止まらなくなる。


「泣くなよ。」


ちょっと困ったような声色で幸村が私の頭を撫でてくれる。


その優しさが胸に染みて、次
から次へと涙は溢れる。



「もしもし?ちょっと来いよ。は?俺の言うこと聞けるよね?うん、待ってるから。」


「…誰に電話したの?」


「王子様だよ。」


王子様?
首を傾げる私を見て、幸村は楽しそうに笑う。

ますますわからないってば。



「さやか?」


聞き慣れた愛しい声が私の名前を呼んだ。

ゆっくり振り返ると、ブン太が息を切らしている。


「遅いよ、王子様。」


「はぁ?これでも急いで来たっていうのに。つか、なんでさやかが泣いてんだよぃ?」


「丸井が悪いんでしょ?さやかを不安にさせるなら、俺がもらっちゃうよ。」


「ちょっと幸村っ!」


「どういうことだよぃ?」


「さぁね。あとは2人で話し合いなよ。」


それだけ言って幸村は去って行った。
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