tennis*short
□俺を好きになって。
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「でねー、そのとき白石が」
好きな女から俺以外の男の名前は聞きたかない。
それは当たり前の話やろ?
なのにコイツは白石の話ばっかり。
俺に聞かせて何がしたいんやろって思うくらいに毎日毎日。
「謙也聞いてんの?」
俺が反応しなくなったからか、不思議そうに俺の顔を覗き込んできた。
この距離でくりくりの目と合うのはアカンて。
さやかが可愛すぎて言葉が出ないっちゅー話や。
「やっぱ聞いてないやん。」
ちょっとムスッとした顔を指でつんと突いてみた。
「なに?」
「あんま白石の話ばっかせんといて。」
あー言ってもうた。
絶対さやかのことが好きだってバレたよな。
チラッとさやかを見たら意外な反応。
顔真っ赤やん。
「白石より俺のほうがええ男やで。」
「…ヘタレのくせに。」
「おん。昨日までな。」
ずっと好きやったんや
って言えば更に顔が赤くなっとった。
白石には負けへんで。
早よう俺のことを好きになって。
END