オ ト ナ リ*°

□09
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あのパーティーの日以来、内田さんとは前より少しだけ長く話すようになった。
もちろん会うのは朝家の前でばったり会った時だけだが、それでも内田さんの車の所まで一緒に歩きながら話すようになった。

そんなある日、飼い猫のぺぺが最近よく庭に出ても野菜を荒らさずに帰ってくる理由が判明した。


いつもと同様、部屋にぺぺがいないなと思い庭に目をやると、隣の庭に侵入しようとしているぺぺの姿を発見した。
慌てて庭に出て、ぺぺを捕まえようと近づくとそのままぺぺは隣の庭に入っていってしまった。そう、内田さん家の庭だ。どうしようと思い、とりあえず壁の横から隣の庭に顔を出すと、思わず、わっ!と声が出てしまった。そこにはぺぺと楽しそうに遊ぶ内田さんの姿があったからだ。
本当にビックリした。なかなか私以外の人間に懐いたりしないぺぺがこんなにも心を許し、内田さんと戯れているなんて。いつから?そんな言葉が頭の中でグルグルしていた。

内田さんもビックリした様子でこちらを見ていたが、すぐにこの猫なんて名前?と聞いてきた。

「ぺぺって言います。」

「へぇ。面白い名前だね」

そうかな。と思ったが、すぐにうちの猫がすみません。と謝った。

「いつから、侵入しちゃってました;?」

そう聞くと、内田さんは顎に手を当てながら考えた様子で1ヶ月前くらいかな、と答えた。最近やっと懐いてくれたんだよね。と付け加えると愛おしそうにぺぺを撫でていた。

そうか、ぺぺもやっと内田さんと仲良くなれたんだね、私と一緒だね。と心の中で思った。
そして内田さんから、勝手にカニカマあげたりしちゃったけどへーきだった?と言われ、うちの野菜達が荒らされなくなった理由がわかった。むしろありがとうございました。とお礼を言うと、またあげていい?と聞かれたので、どうぞと答えた。

こんな場所で内田さんと話す機会ができて正直嬉しかった。
今までは玄関の前だけだったけど、これからはここで話す事もできるのかな。なんて少し胸を躍らせている自分に気付いた。こんな気持ちになるのは久しぶりだった。

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