オ ト ナ リ*°

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今日は朝から髪型やら服やらにいつもより気合いを入れて準備をしていた。
会社の先輩のホームパーティーに誘われたのだ。
この日のために買っておいたワンピースに袖を通し、髪の毛はコテで巻いてアップにした。
化粧もいつもより濃くしたので、鏡を見た瞬間見慣れない自分の顔に少し恥ずかしくなった。

思った以上に準備に時間がかかり、予定していた時間よりも大幅に遅れて家を出る事になった。
手には手作りのケーキと先輩の子供へのプレゼントを持っていた為両手がふさがっている状態だった。
先輩の家はここから車で15分程度の場所にある。
車で向かうつもりでいたが、きっとお酒を少し飲む事になるだろうと今さら気付き開けようとした車のドアから手を離した。
歩きだと30分は余裕でかかってしまうため先輩に申し訳ないと思いながら、遅れます。とメールを打った。
ほんと私ってダメだな、と思いながらいざ歩きで向かおうとした瞬間、ちょうど内田さんの車が駐車場に止まった。
車から出た内田さんはすぐに私に気付くと、いつもと違う私をみて少し驚いていた。

「お出かけですか?」

内田さんは全身を一通り見た後、そう言った。

「はい、会社の先輩の家でパーティーがあって。でも遅刻で焦ってる所です;;」

なんて苦笑いしながら、では。と足早に先を急いだ。
内田さんに今日の自分をまじまじと見られた為少し赤くなったのがわかった。変だったかな、化粧いつもより濃いしな…。と思いながらそれより本当に急がなきゃと、前を向いて小走りした。

すると10メートルほど歩いたところで後ろから車のクラクションがなった。
思わず振り返ると車は私の隣でピッタリ止まり、中から話しかけてきたのは内田さんだった。

「おくりますよ、乗ってください。」

ビックリして思わず、いいですいいです!!と手をブンブン振ってしまった。きっとケーキが少し崩れたんじゃないかと思う。

「いいから。乗んなよ、遅れちゃうよ?」

とため息まじりで言われ、ここはお言葉に甘える事にした。
内田さんの予定が気になって聞いてみたが、なんもないからへーきです。と笑って言ってくれた。
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