オ ト ナ リ*°

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ドイツ、ゲルゼンキルヘンに住んでもう3年目になる。

この街は親切な人が多く、街自体もとても落ち着いていてすぐにお気に入りの場所となった。
短大を出てすぐにこの街にやってきた。若干20歳でドイツに一人暮らしというのはさすがに辛く厳しい事もあったが、何よりずっと夢に描いていた”海外で保育士をやる”という夢を少しでも早く叶えたかったのだ。なぜそこまで海外にこだわっていたのか、理由は簡単だった。

私が小さい頃、父親の仕事の関係でアメリカに住んでいた時期があり、その時通っていた保育園のみちこ先生が大好きだった。ただ一人の日本人の先生で、他の園児の輪に溶け込めず英語もろくに喋る事のできない私をいつも気遣って一緒にいてくれた。いつも笑わせてくれていたのだ。
両親が仕事で忙しく寂しい思いをしていた私を家に招待しずっと面倒をみてくれていた事もあった。きっと同じ日本人として他の誰よりも気にしていてくれたんだと思う。

それからは日本に戻って暮らすようになっても、先生みたいな保育士になりたいという夢は常に持ち続けていた。楽しく勉強していた保育短大も就職活動時期に入り、私は自分の心境と夢を、その頃ドイツで保育士をやっていたみちこ先生に相談した所こっちにきて一緒に保育士をやらないかと、思ってもみなかった相談をされたのだった。ちょうど人手が足りなくてと言ってはいたものの、そう簡単に就職先が決まっていいものかと思った。それにこんなのはただのコネ入社みたいで気が引けた。

でも、”海外で保育士”とはまさに自分が長年描いていた理想の仕事。ほんとうは心臓が飛び出るくらい嬉しかったのだ。

そんな事がきっかけでここゲルゼンキルヘンに引っ越してきたわけだが、3年経った今では頑張って勉強した甲斐あってドイツ語もかなり喋れるようになったし、仕事面でも最初は全くなかった信頼を今では十分にされるまでになった。我ながら、就職してからの3年は本当によく頑張ったと思う。それと同時に案外私ってタフだったんだ。と気付いた事もあった。
 

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