七つの大罪

□語らい
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「んでっ、お前、ディアンヌのどこが好きなんだよぉ?」

「はぁ!?す、好きって…っオイラは別に…」



豚の帽子亭に揺られて次なる町までの道中、まるで女子会のような話題が持ち上がった。

ディアンヌが中に入れない事を良いことに、キングを囲んで質問攻めだ。


「カカっ!今さらバレてないとでも思ってんのかぁ?」

「そうですよ、白状なさい!」

「う、エリザベス様まで…」

「まあ、これでも飲んで落ち着けよ!」

「…ありがとうブタ君。」


カウンターに伏してたじたじとなったキングの横に、ホークが鼻で押して、器用にコップを付ける。

緊張から、それを一気にあおって飲み干すと、キングは渋い顔をした。


「これ、お酒じゃないか!」

「やるねぇ、さすが師匠っ」

「吐かせるには酒が一番ってもんだぜ!色んな意味で!」

ホークが得意気に鼻を鳴らす。


「んじゃ、追加だな。」


トトト…と、メリオダスが慣れた手つきで酒を注いで、バンに手渡した。


「オラ、もっと飲め!!」

「もが…っや、やめ…っ!」


悪酔いするタイプのバンだけにタチが悪く、キングの口に無理矢理エールをを流し込んだ。







「……はーい、一番、キングー、あらいざらい喋りまーす。」

「おー!やれやれー!」

「ディアンヌの好きな所は、有りすぎて言葉では言い表せないほどだけど、とにもかくにも可愛いところ!」


顔を真っ赤にしたキングがカウンターをドンっと叩いた。

「可愛い顔は勿論のところ、いつも笑顔で明るくて、でもちょっと泣き虫で、素直で優しくて、その上強いときたもんだ。…もう非の打ち所が無いね。こないだなんか…」

「ねぇねぇ!ボク抜きで何を盛り上がってるのー?ずるーい!」


はた、と一瞬時が止まった。 

あまりにワイワイ騒いだため、外を歩いていたディアンヌの耳にも入ったらしい。

窓越しに不満そうな彼女の顔が覗いた。

エリザベスが苦笑しながら窓を開けると、ホークが窓から身を乗り出す。


「おーっ!今皆でキングの良いところを話してた所だ。ディアンヌはどう思う?」


プギプギと陽気に誤魔化したホークに、一同はホッと胸を撫で下ろす。


「んー、キングの良いところかー。凄く優しい所と、強い魔法が使える所かな。あとはー」


期待と好奇の眼差しで見詰めるエリザベスやバンを他所に、
ディアンヌは人差し指を唇に当てて真面目に考えて口を開く。


「あ、懐かしい匂いがするところ。」

「??」

「キングの匂いはお花みたいで暖かくて優しい匂いなの。ボク、キングの匂いは安心するし、大好きなんだ。」


ニコニコと嬉しそうに笑った彼女を見た後、皆、「良かったね」と視線で示そうとしたところ、


「…すぴー」


泥酔した妖精王は愛らしい寝息を立ててカウンターに伏していた。




「カカっ!不憫なやつ!」






End

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