F.A
□序章
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闇が最も深くなる時、建物の上を飛び移る2つの影があった。
その2つの影は1つの建物の上に降り立った。
1つの影はしゃがみ、予め持っていたトランクから銃を取り出し、組み立てる。
もう1つの影はその後ろに佇んだ。
銃を持っていた影は、コンクリートに腹這いになり、1つの標的に狙いを定める。そして、深く息を吸うと心の中で数を数え始めた。
その間、もう1つの影は何もしないで後ろに佇んだままだった。
心の中で10ぐらいだろうか、数えた影はそのまま引き金を引いた。
音も無く撃たれた弾は、標的に当たり、静かにその標的は倒れた。
「・・・任務完了」
一言そう呟くと構えていた銃を下ろし素早く仕舞う。
その間、やはり後ろの1つの影は佇んだままだった。
音もなく静かに立ち上がった1つの影はもう1つの影に近づき何か、一言二言言うと、その場を離れる。
闇に紛れ、2つの影はビルとビルの間を駆け抜ける。
それを、知っているのは闇夜に浮かぶ月のみ───────。