dream of H×H
□出会いと別れ
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コウは私の2つ下。
産まれたときから一緒に居た。
とは言ったものの、コウの母親の記憶はない。
大人たちの噂話を思い出せば、母親はコウを産んですぐに出ていったらしい。
追い出されたとも聞いた。
そんな大人の事情なんか知らずに、コウは母親のいない生活が普通になり、私の妹同然に暮らしていた。
「うらぴか」
コウはそういいながらいつも私の後を着いてきた。
可愛くて、本当に大切な私の妹。
「コウは僕が守るからね」
そう言っていたのを覚えている。
コウが三歳の誕生日を迎える前の日。
コウの母親が置き手紙を残して、コウを連れて行ってしまった。
私は大人たちの慌てぶりに何かあったのだろうとは思っていたが、コウが居なくなったなんて夢にも思ってなかった。
コウに会いたくて。
とても心配で。
「おじさんが捜しに行かないなら、僕が一人でも捜しにいく!」
そう言って、初めてコウは母親に連れて行かれたと教えてくれた。
母親のもとだから安全だと。
だから安心しなさいと。
悲しかった。
寂しかった。
だけど。
コウが本当は、母親を欲しがっていたことも知っていたから。
ただ、コウの幸せを祈ることにした。
コウが幸せなら、それでいい。