long dream of うたぷり
□ホワイトバレンタイン
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段ボールを一生懸命運んでそれぞれの部屋の前に置いた。
嶺二の部屋の前に最後の段ボールを置いたところで、嶺二が帰ってきた。
「たっだいまぁ!それなあに?」
「お帰りなさい。今ね事務所行ってきたらこれ頼まれちゃって」
「え、香ちゃんが運んでくれたの?」
「うん。あ、でもタクシーで帰ってきたから運転手さんに玄関までは手伝ってもらったよ」
「わあーごめんねえ?ありがとう!
あ、そっか!バレンタインかぁ」
嶺二は段ボールを開けて笑顔を見せた。
それはアイドル、寿嶺二の笑顔だった。
「やっぱりトップアイドルは違うね。あ、これからもどんどん届くらしいからこまめに取りに来てって言ってたよ」
「了解〜。うわあ!すごいなぁ!嬉しいなぁ!」
にこにこと送られてきた箱を見ている嶺二を見て、香は胸がちくんとした。
それがなんなのかはわからずに、香はじゃあと言って自分の部屋に戻った。
「…へんなの?」
香は自分の胸に手を当てて首を傾げた。
そしてカレンダーを見て、バレンタインかぁ…と考えた。
本当は皆に用意しようかなと思っていたけど。
「あんなにたくさん貰ってるんだから…逆に迷惑かなぁ…食べきれないだろうし」
そう呟いて、もう既に買ってしまったバレンタインチョコレートの材料を見た。
どんだけ浮かれていたんだろうと思うと、なんだか恥ずかしくて、ため息をついた。