long dream of SD

□MVP
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香は水戸達に置いていかれてしまった。
だけど、何かしないとという思いでいっぱいだった。

「先生には言えない…。問題になっちゃったら…試合に出れなくなっちゃうかもしれないし…」

香はふと思い出した。
昨日、赤木が明日は物理の課外授業を受けるから遅れると言っていたことを。

「お兄さんなら…!」

香は走って三年生の校舎へと向かった。

赤木の教室に行くともう誰も残っていなかった。

「…ど、どこでやってるんだろ…」

息を切らして香は辺りを見渡した。

「香ちゃん?何してるんだ?」

「あ!たっちゃん!!」

香は柔道着を背負った青田に駆け寄った。

「ねえ!お兄さんどこか知らない!?」

「赤木?」

「物理の課外受けてるらしいんだけど!」

「ああ。物理なら視聴覚室で…」

「ありがとう!」

「あ、おい、廊下は走るなよー」

香は青田の答えを聞いたとたんに走り出した。
視聴覚室は二階。
階段を駆け降りて、視聴覚室の窓から中を覗く。
ちょうど終わったらしくガタガタと何人かが席を立った。
そわそわしながら赤木が出てくるのを待った。
次々と三年生が出てくるのに、赤木はなかなか出てこなかった。

「何してるの?」

香が中を覗くと、赤木は女子と何かを話して笑っているようだった。

「…〜っ!お!お兄さん!」


香は待ちきれずに声をかけた。
赤木が振り向くのと同時にそこに居た三年生が全員振り返った。

そして、一瞬静まってから。

「おお!赤木に彼女が出来た!!」
「やったな!!」
「可愛い彼女じゃん!」
「背も高くてお似合いね!!」
「年下好きなのね!」

やいのやいの騒がれて、赤木は顔を赤くしながら違う、と否定していた。

「妹の友達だっ!」

「妹の友達に手を出すなんてなあ!」

「だから違う!」

赤木はからかう同級生を掻き分け香の前に向かってきた。

「…ゴホン…。どうした?」

「た、大変なんです!バスケ部が…!」

その言葉に赤木は顔色を変えた。
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