long dream of SD
□もう一人の問題児
1ページ/6ページ
朝、香は頭を抱えていた。
昨日の出来事が頭から離れなかった。
流川とお似合いだと、木暮に言われてショックを受けたこと。
そしてそれを流川に慰めてもらったこと。
「…もー…どんな顔して会ったらいいんだよぉ…」
机に伏せって、香は髪をぐしゃぐしゃにした。
「なにしてんのよー」
「は、はるっ!」
「おはよ。どうしたの?ボサボサになっちゃってるよー」
晴子は香の髪を整えて笑った。
香は昨日のことが心苦しくて晴子から視線を逸らした。
ただ慰めてもらっただけとはいえ、晴子の好きな人に抱き締められたなんて言えるはずもなかった。
「ね、今日も部活見に行くでしょ?」
「へ?あ、うん…そのつもり」
「もーなによ、そのテンション」
晴子は香の胸中など知るよしもなくけらけらと笑った。
香は晴子の向こう側に見える流川の背中を見て、小さくため息をついた。
「じゃあまた放課後ね」
晴子は手を振って教室を出ていった。
晴子には言えない。
流川とのことは、誰にも言えない。
…後ろめたいことはないんだけど、やっぱり言えないよ。
晴子が去ってから香はもう一度大きなため息をついて机に臥せった。