long dream of SD

□秘密兵器
1ページ/11ページ

試合が始まったばかりなのに、すっかり陵南ペースにのみこまれてしまっていた。
田岡は嬉しそうに選手たちに檄をとばした。

「お前たち!この試合30点差をつけてみろ!!」

30点差!?

香と晴子はむっとして田岡を睨んだ。
すると、田岡の後ろに赤い髪の男が立っていることに気がついた。

「え?」
「あれ?」

桜木くん!?
のその瞬間、桜木は田岡にあろうことかカンチョーを決めた。




「…桜木くんったら…」
「あはははは!!いいぞ花道!!」
「いいぞじゃないわよ…。試合に出てないのに反則とられるって…」

笑い転げる水戸達の横で香と晴子は大きくため息をついた。

仙道がボールを持つと相変わらず歓声があがる。
流川は仙道を止めに走るが、またパスを出されて点を決められてしまう。

仙道コールが止まらない。

「くそう!!お前らも湘北の応援をしろ!何しにきたんだ一体!」

桜木は苛立ちを水戸達にぶつけた。

「何しにってなぁ」
「冷やかしに」
「だはははは!!」

「水戸くん!」
「応援しに来たんでしょ!!」

「頑張れ湘北!!」
「湘北ー!!」

香と晴子は水戸達につっこみ、手を振って湘北の応援を始めた。

しかし、ボールは陵南。
また仙道に渡り、流川が仙道についた。
2度もパスを出されたのだから、と流川は仙道の後ろを走る池上の前に出た。
流川の読みは、仙道も読んでいた。
仙道はパスを出そうとした手を止めてそのままゴールへと、叩きつけた。

その超高校級のプレイに館内の歓声が割れんばかりに響き渡り、完全に陵南の空気になっていた。


「こりゃだめだ」
「かないっこねー」

水戸達は諦めムードになり、流川親衛隊さえも意気消沈していた。

「19対0じゃ逆転なんて無理?」

松井の言葉に晴子は懸命に否定する。

「そんなことないわよ!まだ前半だもの!できるわよ!」

晴子の言葉を聞きながら、香も祈っていた。

(頑張れ!流川!…頑張って…)


落ち着いて一本返そうとチームを元気付ける木暮の背中を見つめた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ