long dream of SD

□仙道という男
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朝、晴子のテンションが高くて香は驚いていた。

「桜木くんがね、レイアップ成功したの!」

どうやら朝、一緒に練習したらしい。


「へー!良かったね!
…それにしても…いつの間にそんな仲に?」

「ええ?偶然よぅ!
久しぶりに朝走ってたんだけど、公園で一人で練習してたの」

「あの桜木くんが!?ほー…」

自分のことのように喜んで嬉しそうに話す晴子に、香も一緒に喜んだ。




「たわけ」

体育館では、いつものように桜木が赤木に説教を受けていた。

「たった一度レイアップが成功したくらいで浮かれるな」

「ぐぬぬ…」

「でもすごいよ、桜木。まさか本当に入るようになるとはな」

「そうだろう」

「こういうのは何度も練習することによってだな…」


桜木は木暮と赤木の顔を交互に見ては喜んだりむっとしたりしていた。

「湘北名物。飴と鞭」

「なるほど」

彩子の説明に香は深く頷いた。


練習も終わる頃、赤木は皆に話をした。

「陵南との練習試合が一週間後にある。気合い入れていくぞ!!」

「陵南…!?」
「去年県ベスト4だろ?」
「マジかよ…」

部員達はざわついていたが、桜木と流川はその胸に闘志を燃やしていた。


「あれ?桜木くん帰らないの?」

香は着替えようとしない桜木に声をかけた。

「河嶋さんっ!ちょ、ちょっと用事があって…!その…あはは!」

「用事?」

首を傾げる香に、木暮がそっと声をかける。

「…たぶん練習したいんだ。知らないふりしてやって」

「…ああ!
じゃあ、また明日ね」

「うす!」

香は桜木に手を振って木暮の後を追った。

「もう暗いし送っていこうか」

木暮は香に訊ねた。
香は嬉しくて顔を上げたとき。

「俺同じ方向だから行きますよ」

流川が香の肩に手を乗せて言った。

「へ?」

「そうか。じゃあちゃんと送って行けよ」

「うす」

「ちょ、流川!?」

香は驚いて流川を止めるが、笑顔で見送る木暮を見ると何も言えなかった。

「それじゃあ、お疲れー」

木暮は二人に手を振って赤木と晴子と一緒に帰っていった。
晴子は香を羨ましそうに見ていたが、笑顔で手を振っていた。
香は、そっちの方が羨ましいよと思いつつ手を振り返した。

晴子は香に流川のことをいつも話していたし、香を信じていたから疑いもしていなかった。
ただ単に羨ましいなと思っているだけだった。
そんな妹の気持ちも知らずに、どうしたものか。慰めるべきかと赤木は一人で悶々としていた。
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