long dream of SD

□庶民シュート
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今日も体育館にはバッシュの音と、ボールの弾む音、部員の掛け声が響いている。

体育館の隅からは、一定のリズムのボールの弾む音と。
桜木の歯ぎしりの音が響いていた。


「腰が浮いてきてる!」

それと時々、彩子の叱咤とハリセンの音。


「ぐぬぬ…」

桜木は明らかに不満げな顔で堪えていた。

「花道やってるなー」

体育館の下の窓から覗く水戸達の野次に、むっとして睨み付けるが、その隣で晴子と香が見ているのに気づき、へらっと笑っては彩子にハリセンでぶたれていた。


「あ、ねえねえ。はる、ほら。流川」

流川がドリブルしているだけで、晴子は目をハートにしてうっとりしていた。

(確かにバスケしてる流川はかっこいいなあ)

香が感心していると、体育館の入り口で女子が3人きゃあきゃあ言いながら流川を応援していた。

「流川くーん!頑張ってー!」

その声に流川は振り向くが、返事をするわけでもなくまた練習に戻った。

「おーおーモテるね流川。無愛想のくせに」

彩子が流川をからかうが、流川は気にすることなく練習を続けた。

(…やっぱり流川モテるんだなー…)

香はそう思いながら晴子をちらっと見た。
晴子は流川の姿をまさに恋する乙女の眼差しで見つめていた。


すると桜木が無言で体育館の入り口にいる流川ファンの前に立った。

「…あ、あのですね。あんまりルカワルカワと騒がれるとですね…気が散るといいますか…」

顔を赤くして話す桜木に流川ファンは平然としていった。

「なにこの人?バスケ部?」
「変な髪ー」
「ちょっとどいてよ、流川くんが見えないじゃない」


「ふんぬー!!」

桜木は体育館の入り口を無理やり締めた。
ドアの向こうで流川ファンの文句が聞こえてくるのを桜木は不満げな顔で聞いていた。

その時ドアが開き、一人の教師が入ってきた。


「おーぅ、やっとるかあ」

は白髪の教師の登場に、部員達の足が止まった。


「なあにが、やっとるかあっだっ!!なんだ、オヤジは。偉そうに」

桜木は真っ先に近づき、ガンを飛ばし始めた。


「ばっ!ばか!」

彩子が慌てて桜木を止めに向かった。

「新入部員かね?」

「ああー?だったらどうだっつーんだよ、あ?」



「バカもんが!!」



桜木の頭に赤木の拳がめり込んだ。



「すみません、安西先生」

「ホッホッホッホ。元気があっていいですね」


赤木の様子に桜木はきょとんとしている。

「バカね。あの人は安西先生。
バスケ部の監督よ!」

彩子の言葉に、桜木は驚いた。

「監督ぅ!?こんなオヤジがか!
こんなタプタプしてんのにか!」

「こ、こら!やめなさい!」


桜木は安西の顎をタプタプタプタプと揺らしては笑った。
その周りで彩子と木暮が慌てて止めようとしている。

そこに。

「やめんか、バカもんがあっ!!」

本日二度目の赤木の拳が、桜木にめり込んだ。



「なーにやってんだ、桜木くんは」
「桜木くんったら〜」

晴子と香はそれを半ば呆れ気味に見ていた。
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