long dream of SD

□入部
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「なんですか?これ」

昼休み、香は赤木から大量のバナナを渡された。

「馬鹿が置いてくんだ。返そうとは思うんだが入部させろとうるさくてな」

「あはは。なんでバナナ?」

「あと、何故か宮沢りえの切り抜きも入ってたな…。
香から返しといてくれないか?
晴子に頼んだら入部させてやれって言うからな」

「あー…晴子は桜木くんのこと救世主って言ってたもんね。
返すのはいいですけど、入部は許してあげたらどーですか?
センスはありそうだし。よくわかんないけど」

香がそう言うと、赤木はキッパリと言った。


「ダメだ。あいつは邪な考えだけで入部しようとしてる。
あんなやつがバスケ部のためになるとは到底思えん」

「んー…」

「じゃあ頼んだぞ」

「あ、お兄さん!…んもー」


香はバナナを持ってため息をついた。

あれから桜木は赤木に貢ぎ物をことあるごとに渡しているらしい。
主にバナナを。

「…なんでバナナと宮沢りえ…?」

そう思いながら、香は桜木のクラスに向かった。


「なにそれ」

途中で流川が香の両手一杯に抱えられたバナナを見て聞いた。

「桜木くんから赤木キャプテンへの貢ぎ物」

「へえ…」

「流川からも言ってあげたら?桜木くんのバスケ部入部の件」

「やだよ」

そう言って流川は教室へと入っていった。


「もー」


香はため息をついて、桜木のクラスへと足を向けた。




「桜木くんいる?」

入り口にいた女子に声をかけると、ちょっとびびられながら窓の方を指差した。


「ありがと」


香はびびられるのには慣れていたけど、やっぱりちょっとだけへこんだ。

いつものこと。
そう言い聞かせて、桜木の席へ歩み寄った。
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