dream of 進撃の巨人

□強い気持ち強い愛
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「…お…おも…」

書庫から座学に必要な資料を集めてくるように教官に言われたため、必死でかき集めているのだが。
その半端ない量に、腕がぷるぷるしてきた。
しかも、あと一冊。
本棚の一番上。

「…くっ…よっ…」

爪先を立てて、思いっきり手を伸ばす。
でも、あと一センチ届かない。


「くう〜っ…!!!」


その時、一瞬光が遮られたと思ったら。

「これ?」

そう言って、欲しかった本を取ってくれた。

「ベルトルト!ありがとう」

「どういたしまして。それ運ぶの?」

「うん、頼まれちゃって」

「持つよ」

「え?」

そう言って、ベルトルトはひょいっと本を抱えた。
あんなに重かった本を軽々と。

「重いでしょ?半分…」

「大丈夫。重そうに見える?」

「…ううん…」

「ね?こういうのは男の仕事」


そう言ってベルトルトは本を運んでくれた。
すごく背が高くて、優しくて。
成績も常に上位だし、顔だっていい。

なのに。


彼はとっても影が薄い。



「ベルトルト…?ライナーと一緒にいる人だよね」
「成績いっつもいいよね、何気に」
「でも話したことないなー」
「何考えてるんだろーね」

「で?そのベルトルトがどうしたの?」

「え?ううん、どんな人かなーって思って」

「ふーん、あ、やば、教官来た」

慌てて席に戻る友達も、やっぱりベルトルトのことはあんまり知らなかった。
一番端に座っているベルトルトを横目でちらっと見る。
ライナーなんかは周りの人達とも話しているのに、ベルトルトはたまに相槌を打っているだけで自分から話そうとはしない。

あ。

見ていたのに気付かれたのか、ベルトルトと思いっきり目があってしまった。
すっごい勢いで顔をそらしたんだけど、そらしてからわざとらしかったなあと反省した。

変な女とか思われたかな…。


その日から、何となくベルトルトを目で追うようになって。
気がついたら、好きになってた。

我ながら単純だ。
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