dream of 進撃の巨人
□同じ夢を
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今日こそ行くんだ。
コウは拳を握り、大きく息を吸ってから、気合いを入れた。
「ア、アルミン!!」
思った以上に大きな声が出てしまったことに、コウは少し顔を赤くした。
そんなコウの動揺など、全く気にすることなくアルミンは笑顔を向けた。
「なに?コウ」
「あ、えと…ちょっと教えてほしいところがあって…」
技巧の教本を手に、アルミンの表情を伺った。
「ああ!僕にわかるところなら」
そう言って微笑むアルミンに、コウの心臓は今にも張り裂けそうなくらい高鳴った。
「アルミン、飯行こうぜ」
アルミンの後ろからエレンとミカサが声をかけた。
「エレン、ミカサ。ごめん、先に食べてて」
アルミンは二人にそう言ってから、コウの手にしている教本を指差した。
「どこかな」
「あ、さっきの…」
慌てて教本を開くコウの手が少しだけ震えた。
「ご、ごめんね、エレン達とご飯…」
それを誤魔化すようにコウはアルミンに謝った。
「えー?もう子供じゃないんだし。気にしないで。
あとで一緒に食堂にいこう?」
アルミンは笑って、コウに説明を始めた。
コウはその笑顔に胸を締め付けられたが、気合いでアルミンの説明を聞いた。
「…というわけなんだけど、大丈夫かな?」
「うん、ありがとう!すっごくわかりやすかった!」
アルミンの笑顔に少しだけ慣れて、アルミンのわかりやすい話に集中できたコウは、満面の笑みでアルミンに礼を言った。
「力になれて良かった。
あ、じゃあ時間なくなっちゃうし行こうか」
「うん」
コウはアルミンの少しだけ後ろに立って、食堂に向かった。
ものすごく嬉しくて、幸せで、足が浮いてるようなそんな感覚だった。