dream of H×H

□四次試験開始
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私の獲物は、今私の真下にいる。

私が島に上陸してから木の上で来るのを待っていた。

奴は私に気づかないまま、自ら私の居る木の下に来た。


このまま襲うこともできるけど、流石に今やっちゃうと私の居場所も他の受験生にばれてしまう。


私が誰の獲物なのかわからないなら、それは避けたい。


その時、獲物が動いた。



キルア?


奴の視線の先にはキルアが居た。
そうか。
キルアを狙っているのか。

でも、キルアはもう奴に気がついている。

私にも気づいてる…だろうなあ。


とりあえず奴にだけバレなきゃ大丈夫だろ。
行くか。




キルアの後を追う奴を追った。



どんどんキルアは島の奥に進んで行った。


私のことは…たぶん、まだ誰も追ってきていない。

時々後ろを確認しながら後を追う。


気配を消すのは得意。
あの女とよくゲームしたから。

まだあの女を母親として慕っていた頃。
母親は何度も一日がかりのかくれんぼをさせた。

20時間、見つからなければ私の勝ち。
時間が一時間のびるたび、私の髪をくしゃくしゃにして褒めてくれた。
初めて20時間隠れた時は、欲しかった服を買ってくれた。


「いつか役に立つときが来るから」


そう言って私に遊びと称した訓練をさせた。
サバイバルも、医術も、語学も基本は全て叩き込まれた。



悔しいけど、あの女が私に教えたことは今、とても役に立っている。



目が熱い。


あの女のことを考えるな。



静かに目を閉じて、小さく、森の中を走るリスの呼吸より小さく息を吐いた。



集中しろ。



私の獲物は。


今はあいつ。
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