long dream of うたぷり

□はっぴーばーすでー
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香は鼻をすすりながら、カレンダーをじっと見つめた。

「あー…そろそろ花粉症の季節だぁ…どうりでムズムズすると思った…」

香はティッシュで鼻をかんで、ふとカレンダーを再び振り返った。


「あ」


香は大事なことを忘れていたと慌てて嶺二の部屋へと走っていった。

「嶺二くんっ!!」

「わっ!な、なに?香ちゃんっ!?」

まだ眠っていた嶺二はベッドから飛び起きてキョロキョロと辺りを見回した。

「ど、どうしたのっ!?夜這いっ!?」

「もう朝だよっ!ってそうじゃなくて!今日!今日だったの!!」

がくがくと嶺二の肩を掴んで揺すった。

「わ、わ、わ、何が今日なの〜?」

「藍ちゃんの!誕生日っ!!」

「…あ」


嶺二もすっかり忘れていたらしく、そう言って暫く固まった。
香はそんな嶺二に、どうしよう、と聞くが答えは出てこなかった。

「……急いで準備をしよう…」

香がそう言うと、嶺二はごめんと言った。

「…僕ちん今日から海外ロケ…」

「ええ!?うそ!」

「ご、ごめーん…」


謝る嶺二をベッドに押し倒して、香は立ち上がった。

嶺二くんが頼りにならなくても!まだふたりいるじゃない!!

香はベッドに倒された嶺二をほっぽって部屋を出ていった。



「…なんか…泣きそう…」

嶺二はぐすんと鼻をすすって、枕に顔を埋めた。
まさか嶺二がそんなに落ち込んでいるとは思わずに香は蘭丸の部屋をノックした。
ノックしたけど返事を待たずに部屋を開けて、蘭丸にすっごく怒鳴られた。

「てめえ!急に入ってくんじゃねえよ!!」

「ごめんね、おはよう、あのね」

「ちょ!こっちくんな!」

「なんで」

「…朝は色々あんだよ。そこで話せ」

蘭丸は布団をかぶったまま、香に指でそこから来るなと合図をした。
香はよくわからなかったが、まあいいやと話を始めた。


「あー…俺も忘れてた…」

「ねえ!どうしよう!嶺二くんいないし!」

「…んー…いや、俺も今日は仕事なんだよ」

「ええっ!!?」

「北海道で」

「はあっ!!?」

「わりぃ。頼むな」

香は謝る蘭丸に近くの本をばさっと投げつけた。

「カミューー!!!」

香は半泣きでカミュの部屋へと走っていった。
蘭丸は顔面に投げつけられた本を拾って。

「…あ、やべ」

見られてねえだろうな。
そう思いながら、大人の本をそっと枕の下に押し込んだ。
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