long dream of うたぷり
□ポワゾンKISS
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「っくしゅ!!…うー…」
香はぐしゅぐしゅと鼻をかんで、眼鏡をはずして目を擦った。
「…香ちゃん、大丈夫?」
「花粉症?」
「はっ!愚民は大変だな」
「マスクしとけよ」
「…うー…かおが痒い…」
手でぐしぐしと目を擦った。
毎年この時期になると香はこの辛い症状に苦しんでいた。
「空気清浄機買おうか」
「僕の部屋にあるよ。あ、そうだ。香しばらく僕の部屋にくれば?」
「おいおい。然り気無く呼ぶな」
「柔な身体を持つと可哀想だな。花粉が届かない程のオーラを纏っている俺の側にこい」
「ミューちゃんもか」
四人がやいのやいの言っている横で香は箱ティッシュを抱えてくしゃみを連発させていた。
「うー…ごめん…へやもどる…」
香は鼻をすすりながら部屋へと戻っていった。
花粉症の薬を飲んで、ピアノの前に座ってみたものの、鼻水と目の痒みでぼーっとするし、薬のせいで眠いしで集中できずに香はベッドに転がった。
「…うぅ…辛い…」
その時、部屋がノックされて香はのそのそと起き上がった。
「あれ?藍ちゃん」
「これ。使っていいよ」
「え」
藍は香の部屋に入り、空気清浄機をどんと置いた。
「貸してあげる」
「え、いいの?」
「うん。いいよ」
「…あ、ありがとお…っくしっ!」
「……つけておくよ?」
「…あびばどー…」
ティッシュで鼻を押さえて香はお礼を言った。
「じゃあ僕はこれから仕事だから。
薬は?飲んだの?」
「うん。さっき」
「じゃあね。お大事に」
藍は部屋を閉めて出ていった。
香は空気清浄機の前に座って、深呼吸をした。
「…あー…ありがたーい…」