long dream of うたぷり

□サプライズパーティー
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「いってらっしゃーい!」

香はカミュに手を振って送り出すと、よっしゃあ!と叫んでばたばたと厨房へと向かっていった。

「…お前…あれバレバレだろ」

蘭丸はそんな香に呆れたように言った。

「え?そう?」

「だから、香はカミュに話しちゃダメだよって言ったのに」

「ご、こめん…」

「まあまあ!ほらっ!早くやれるとこまでやっちゃわないと!」

手をぱんぱんと叩いた嶺二は、楽しそうに玉ねぎを切り始めた。

「香のエプロンかわいいね」

「え?そう?ありがとう、えへへ」

藍に褒められて、香は恥ずかしそうに前髪を撫でた。

「おら!さっさとやれよ」

それを蘭丸は面白くないと言ったように邪魔をした。
香は、はーいっと言ってケーキ作りに向かった。

「ランマルもなの?」

「…な、なにがだよ」

「…はー…本当、香って…」

「な!なんだよ!いいからさっさとこれ切れよっ!!」

「ほーんと、香ちゃんってば小悪魔さんだよねえ…」

「レイジもなの?」

「そっ。どーやらミューちゃんもそうみたいだし?あーあ!僕が一番早かったのになぁ」

「順番は関係ないからね」

「わーかってるよぉ!ね?ランラン?」

「う、うるせえ!いいから手を動かせっ!手を!!」

蘭丸は肉をだんだんと音を立てて切り刻んだ。

「あ!黒崎くん!ミンチにしちゃダメッ!!」

「…おぉ…わ、わりぃ…」


蘭丸はじーっと藍と嶺二に見られていることに気がつき、はっとしてまた肉を切り始めた。


くそっ。


そう思っているものの。
ふたりの言うとおり、香に惹かれつつある。
それは認める。
だけど、それは別に好きだとかそういうことではなくてただの作曲家としてのあれがどーってことであって色恋沙汰のどーのってわけじゃ


「黒崎くんっ!!ストップストップ!!」

「はっ」

「…ハンバーグにしよっか…」

「わ、わりぃ…」


すっかりミンチになってしまった肉を見つめて香は笑った。
蘭丸は小さく舌打ちをして、嶺二と藍をこっそり睨み付けた。
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