long dream of うたぷり

□自業自得
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朝起きると、おばちゃんが言った通りすっかり元気になっていた。
シャワーを浴びて食堂に行くと、嶺二が走って駆け寄ってきた。

「香っちゃあん!!良かったぁ!!元気になったんだねっ!!」

「あ、ええ。その節はどうも」

「昨日お見舞いに言ったら事務所のおばちゃんに追い出されちゃってさあ」

「香が着替えてる時に入ろうとするからでしょ」

「あ、藍ちゃん!昨日はありがとう」

香は嶺二の後ろから顔を出した藍にお礼を言った。

「うん。元気になったみたいだね」

「うん、ありがとう。藍ちゃんのおかげ」

そう言うと、藍はふいっと顔を背けて少し離れた席に座った。

「あれ?」

「アイアイなら、僕のおかげじゃないよ。薬の効果と免疫力のおかげでしょとかなんとか言うかと思ったのに…」

「あ、嶺二くんもそう思った?」

「うん」


ふたりは顔を見合わせて、藍の背中をじっと見つめた。
そして、首を傾げて。

「何かあったのかな〜?」

と声を揃えてしまった。



「おい、入り口で突っ立ってんな」

ふたりの背後で朝から不機嫌な声をあげたのは蘭丸だった。

「ん?お前風邪引いてぶっ倒れたらしいな」

「あ、はい。昨日ね」

「マスクしとけよ。うつったらどーすんだ」

蘭丸はそう言って香の手にマスクを押し付けた。

「…あ、そうだよね。ごめん、ありがと」

蘭丸は素直に受け取った香に、小さく舌打ちをして席についた。

「ランランったら…。香ちゃんの風邪なら…。はっ!
香ちゃん!風邪はうつすと治るんだって!!」

「へ?ちょっ!嶺二くんっ!?」

嶺二はぐっと香の手を掴んで満面の笑みで顔を近づけてきた。

そこに。

パッカーンとふたつのお椀が飛んできて嶺二の頭をふっとばした。


「レイジうるさい」

「朝っぱらからぎゃーぎゃーやかましいんだよっ!」


「しっ!しどい!アイアイ!ランラン!」


頭を押さえて振り返る嶺二に、香も。

「はー…ありがとー藍ちゃん。あと黒崎くん」

とお礼を言いながら藍の隣に座った。

「ああっ!そんな!香ちゃんまでっ!!」
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